「実際に目にしたかのような体験を」デューン 砂の惑星 PART2 猿田猿太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
実際に目にしたかのような体験を
私は(評価は低いらしいのですが)デイヴィッド・リンチ版(1984年)が好きなので、そちらとの比較になってしまいます。私の感覚的には、デイヴィッド・リンチ版が舞台劇、この新作のドゥニ・ヴィルヌーヴ版が本物の実映像という印象を受けました。
PART1でも感じたのですが、本物の映像を見たかのような生々しさ、迫力、スケール感を存分に味わった気分です。更には、砂漠の国々の文化、伝統、戦いぶりが何千年もそうして戦い続けてきたようなリアルさ。実際、そうした部族に出演を依頼したんじゃないかと思ったほど。岩陰でしゃがみこむ仕草、仲間同士の素振りや歌うようなざわめき(♪異邦人)、地球人の科学文明が極まり、宇宙に進出して砂漠の惑星に住み着いたら、やはりそうした古代の風土へと変わってしまうのでしょうか。
逆にSF感は薄く感じました。砂漠での戦いが主であるため、どうしてもそうなってしまうのか。映画全体で、SF感を大きく担っていたのはUの字を連ねたロゴぐらいかもw ハルコンネン家と文化の違いもエグイのですが、どうにも自分はSFといえば未来のメカやロボットのイメージしかないので、単なる文化圏の違いにしか見えないな。あの白黒の花火が面白かったけど。リアルの花火をネガ反転したみたいで。
お話も渋い終わり方で、シビアで良いですね。皇帝を服したけど、領主会議(だったかな?)との対立を生み、ポールは最後の勝ったけど血まみれの辛勝、皇帝の娘との政略結婚、チャニとはことさら不仲のまま。俺達の戦いはこれからだ!って終わり方ですね。原作も話が続き、新訳も出ているので、PART3以降(タイトルも原作と合わせて変わるのかな?)も続くのでしょうか。ティモシー・シャラメさんが若く美しいうちに頑張ってほしいですねw
余談になってしまいますが、前回のデイヴィット・リンチ版もやっぱり好きです。オープニングはプリンセス・イルーランの姿が宇宙空間に浮かぶ独特のSF感。先に申したとおり舞台劇ならではのカーテンコールで締めくくられてて(顔写真じゃなくて、役者さんたちが身を正しているビデオ映像)締めくくりは砂漠に豪雨のハッピーエンドもいいじゃないですか。デイヴィット・リンチ独特のセンスも良かったなーって思うんですが、そうですか。評価低いんですか(映画.com:3.0)。残念、残念……。