「リンチやホドロフスキーの呪縛から、抜け出すにはコレしか無かったのか?」デューン 砂の惑星 PART2 かぼさんの映画レビュー(感想・評価)
リンチやホドロフスキーの呪縛から、抜け出すにはコレしか無かったのか?
SFの金字塔の原作は、指輪物語と同じく手を出すのは、中々覚悟がいるので未読。
ただ、大まかな物語は知ってる感じ。
Part1は、劇場鑑賞済。
一大叙事詩を映像化する覚悟を持った誠実な映画だと思いました。
Part1で不満だった兵器や船、プロップ等のデザインや描写が増えてその部分は満足、惑星アラキスの生態系の肝の砂虫も顔出し興行の前作より、物語の展開上必須だけど、やっとしっかり見せた。
ジェティ・プライムの闘技場のモノクロシーンや、そこに出てきてた看守?のデザインも狂ってて良かったし、ポール覚醒後、初めて劇中でアラキスではなくデューンと言った時には、テンション上がりました。
ただPart2では、前作で足りなかったメランジ(香料.スパイス)の描写が増えると思ってたので、そこに不満が残りました。
デューン世界の肝であるスパイスの重大さ(意識高揚や予言、抗老化だけでなく、航宇宙術に不可欠)は、航宙士のギルドやベネ・ゲセリット(女修道会)、宇宙帝国の根底を成すもので、その希少かつ特異性が表れていたとは、言い難いと思います。
原作がSFの金字塔と言われる由縁は、舞台の生態系の描写やメランジの存在や意識の覚醒が、当時のヒッピー文化と呼応して名作とされている訳ですし、ホドロフスキーが映像化したかった所だと思います。
リンチ版ではグロテスクなビジュアルで、メランジの効能と異能な世界を描写しようと試みていました。
個人的には失敗作の誉高いリンチ版のディテールが好きなのでその分、今シリーズに辛口なのだと自覚してます。
(砂虫デザインも圧倒的にリンチ版推し、今作はでっかい蛭じゃん)
今作ヴィルヌーブ版は、そう言ったサイケデリックでドラッギーな部分を抑えて物語を語り、前作で蒔いた種を収穫する復讐劇としては成功してると思います。
ただ、砂漠を知る為に1人サバイブ修行するポールのシーンのブツ切り編集はビックリしたし、砂漠の過酷さも足りてない気がしました(ポールの暑さでヘロヘロ、意識朦朧からの幻視とか)
ヴィルヌーブは勿論先人達のアプローチや結果の上で、今作を撮り上げており其処彼処に、その香りを残しつつ物語りに徹し、スケールの大きな叙事詩を紡ぎたかったのだなあと思いましたし、現実の現代まで続く戦争の側面、資源確保の部分を焦点しているんだなぁと思いました。
アメリカで前作以上のヒットをしてるみたいで、監督の望み通りPart3が撮れそうだけど、次って大奥みたいな話になるんじゃないの?チャニと嫁の戦いで盛り上がる?って事と、妹はいつ生まれるの?タイミングズレてない?大丈夫❓ってちょっと心配です。
とても良いレビューありがとうございます。
原作もリンチ版も未読です。
メランジってただの麻薬みたいなものかと思ってましたが、そんな希少で重要な物質だったんですね。
納得しました。
私の方にコメントくださってありがとうございました。
原作未読は同じでも、背景知識が違うと見えてくるものがあるんですねえ。
深いレビュー、味わって読ませていただきました。
映画の中で、特に物語に焦点を当てて詳細かつ的確に言語化をされていて、素晴らしいと思いました。
私はそこまで読み取れて(感じ取れて)いなかったので参考になりました。