「原作改変に唸る!」デューン 砂の惑星 PART2 ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
原作改変に唸る!
デヴィッド・リンチ、ホドロフスキーが挑戦した「デューン」映画化の決定版の姿がここに!
フランク・ハーバートの原作は架空の惑星を題材にしたSF小説だが、救世主として運命が決められた"あらすじが決められた物語の"主人公ポールの内面の葛藤が多く描かれ、そしてラストのフェイド・ラウサとの決闘では敗北の未来しか待っていなかったポールが自らの意思で運命"あらすじ"を書き換え勝利する展開はカタルシス抜群だった。
このシーンの映像化は非常に難儀だったと思う。主人公の内面の葛藤はカメラには映すことが出来ず、セリフでモノローグを入れるとダサくなる。
しかし本作はそんな原作から大きく改変したチャニとガーニーの扱いによって、実に映画的なカタルシスと葛藤の二面を描き切っている!
原作版でのポールの葛藤は今回の映画ではポールとチャニの葛藤になっており、ラストは原作ではポールの妻になる(皇帝の娘はカタチだけの妻となる)展開から大きく変更し、ポールの葛藤を担うカタチとなった。
この流れで期待されている次作「デューン 砂漠の救世主」の展開への影響は計り知れない。原作冒頭のポールとチャニの夫婦生活描写がまるまるカットとなるが、この映画版の展開こそが「砂漠の救世主」の展開に相応しいように思える。非常に次作に期待の高まるラストだ。(作ってくれるよねドゥニ?)
ラストのポールとフェイド・ラウサの対決は運命を受け入れた(もう立ち止まれない)ポールが勢いそのまま勝利した表現となった。フェイドに脇腹を刺され絶滅するはずが、その運命ではないと見せつけて
そしてガーニー!コイツの展開がアツい!王道の少年漫画のようだ!
原作でのガーニーはほぼ捕虜としてハルコルネン側にいるが、最後までポールを信じていたという静かだが男の友情を感じる展開に涙を流したが、今回の映画化では中盤で早くも登場!そしてバリバリ前線に立ち、ラストではラッバーンへの復讐を果たす。
原作でもあったポールに亡きレト・アトレイデスの姿を重ね見守る姿はセリフはないがジョシュ・ブローリンの演技力によって完全カバー。素晴らしい。
途中この調子で本当に終わるのか?と心配になったが、後半から怒涛の追い上げ(ジャミスの妻と子供に会うところなどフレメン側での生活描写はまるまるカット!)して、見事に終わった。Part1のあの眠気を誘うスローな展開は一体どこへ行ったのかというくらいエンターテイメントとして見応えのある映画だった。
IMAXのスクリーンサイズだし、音響のこだわりも半端なく、あそこまで攻めた重低音の音量・音圧はなかなかない笑 IMAXで観賞するためにつくられた映画だ。
また、キャスティングも本当に素晴らしかった。アニャ・テイラー=ジョイのサプライズ出演にはびっくり。さすがのアニャの顔面力は是非IMAXで。エンドクレジットカードにも彼女の名前がなかったので、ホントのカメオ出演だ。
隠れた大名作続編「デューン 砂漠の救世主」の映像化に期待大!