「ポリティカリーコレクトな泥棒退治」ホーム・スイート・ホーム・アローン regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
ポリティカリーコレクトな泥棒退治
オリジナルの『ホーム・アローン』は第1作のみ、それも断片的にしか観ていない。それどころかシリーズ化して『2』以降も続編が作られていた事を今回初めて知ったほど。
そんなわけでシリーズに何の思い入れもないまま本作を観たけど、どちらかといえば主人公の少年ではなく泥棒となる夫妻にストーリーの主軸を置いている感。そのため、大きな見せ場となるはずの少年と泥棒夫妻のバトルが残り30分でようやく始まるも、夫妻が根っからの悪人ではない上に、双方それぞれに誤解が生じた故でのバトルという事が分かってしまっているため、なんとも没入しづらい。端的にバランスが悪いというか。
少年が仕掛けるブービートラップも、どれもこれも観ていて痛々しいものばかりなので、ヒドイ目に遭う夫婦が気の毒に思ってしまった。これだったら泥棒側を、1作目のように同情の余地がない悪人(っていうほど極悪でもなかったけど)にすれば、まだカタルシスがあったのに…もっともそういったあたりは、ディズニーらしくポリティカリーコレクトに配慮した作りなのかもしれないが。
ただ監督のダン・メイザーは、R15+の下ネタコメディ『ダーティ・グランパ』の監督や、やりすぎモキュメンタリーの『ボラット』シリーズの脚本を手がけた人物。だから本作でのドギツいブービートラップはまだ優しい方ともいえるけど。
キャスティングに関しては、『ジョジョ・ラビット』で愛くるしい少年を演じていたアーチー・イェーツはイイ感じだったし、何よりもエリー・ケンパーとロブ・ディレイニーというコメディ俳優を泥棒夫婦に配したのは勝算。
まぁクリスマスのファミリー映画だし、全く楽しめなかったわけではないので、あんまり野暮な事を言っても詮無いかな。