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前作にも増して、王室イベントシーンは多くなっているのに、予算がないのか、ロイヤルな雰囲気を出せる統制取れた動きや荘厳な空間やセットが全然ない。
ので、ヴァネッサハジェンズが一生懸命演じ分けしているのに、脚本もあり安い二流駄作な作風になってしまっていて可哀想。
でも、3作で最も扱われているテーマが良い。
今回、主役はなんと王室のお騒がせ厄介血縁のフィオナ。作品を一気に深くしてくれた。
フィオナから品性が消えてしまった理由。
幼い頃から寄宿学校に入れられて、母はいつも飛行機で娘から逃げてどこかに行っていた。
母に愛されたい一心で子供の頃は良い子にしていたが、
無条件の愛を信じられずに、
人と深入りしそうになると途端に避けてしまい、
だからいつも孤独で、
派手な装いと攻撃的言動で自信を見せるが、心が空っぽだった。
どうせ大切にされないやとどこかで思っているから、自分も自分を大切にできなくて、全てにどうせが表れていたのだ。
それをずっと見てきて指摘して離れないと言ってくれる元同級生ピーターのお陰で、フィオナは母親と再び対峙する。
愛する人との時間が後どれだけ残されているかなんて何の保証もなくわからない。
だからこそ、愛から逃げて無駄にする時間なんてない。
フィオナがこれまでどれだけの寂しさや辛さを噛み殺して、平気な顔でいたか。
周りの人間には支え合える関係性があるのに、
自分にはないし求めても裏切られてばかり。
クリスマスものというと、多少のすれ違いはあっても人間として愛情の基盤はある者同士が再び心通わせる奇跡ばかりだが、心の基盤から傷付いてしまったところにフォーカスしているこの作品は本質的で、良かった。
フィオナはグリンチやウィルハンティングと重なる。
実はフィオナ同様に、作中のマーガレットもお付きのドナテラさんしか身寄りがいなかったし、マーガレットと結婚したらケビンの連れ子のオリビアも、父の離婚により母と生き別れている。
血の繋がりにこだわらなくても、愛を満たしてくれる存在が周りにいれば、寂しい連鎖は避けられる。
ピーター、フランク、マーガレットとも、フィオナの心に気がついている。1人に思えても、絶対にそうじゃない。
思いっきり幸せになって欲しいな、フィオナ。
その寂しさにちゃんと気がついていた、エドワード王子の付き人、フランクが、危機一髪の場面でもフィオナを拾いにピンクのワゴンでちゃんと戻ったところが良かった。