劇場公開日 2022年4月1日

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「思い出すこと忘れること、これからもよろしくね」やがて海へと届く kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0思い出すこと忘れること、これからもよろしくね

2022年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 アニメパートがとても沁みる。オープニングに登場した台詞「電車は来ないよ」・・・どんな意味があるのかさっぱりわからなかったけど、最後に解明される形です。そして気になる小物“猫のポーチ”。これも終盤に明かされます。

 最近見た浜辺美波はTVドラマ「ドクターホワイト」でしたが、このドラマでは演技が微妙すぎて、テーマ曲「心という名の不可解」のAdoにハマってしまいました。おかげで最初はうるさいだけだと思っていた「うっせぇわ」も好きになりました。

 この作品の音楽がとても良かったことも忘れてはならない。まるで海の底にいるかのような環境音楽と優しいスキャットが全体を彩っているのです。メタリカが好きな店長(光石研)がフレンチの店ではジャズをかける。そしてPUFFYの「これが私の生きる道」とバラエティに富んでますが、それぞれの性格すら表現しているかのようでした。一方で浜辺美波演ずるすみれは「チューニングすること(周波数を合わせる)」ことで色んな人に溶け込むことができるという設定。

 東日本大震災の津波を扱っているにもかかわらず、どこかオブラートに包んだ優しさも感じられた。行方不明のままだと死は受け入れられず、亡き人として扱う母親や元恋人に違和感を感じざるを得ない真奈。線路が水没する幻想的な風景も送る側からすれば堪らないのに、忘れることと記憶に留めるという境目に立つ真奈。答えは明示されないものの、大切な人を失った経験がある者にとってはそれぞれの答えがあるものだ。

 時間軸が曖昧すぎるところが難点といえば難点。2005年の新入生オルグでのいい感じの出会いから2011年の悲劇。それから5年後の真奈の様子。うまくいってもダメになっても、それがあなたの生きる道。などと奥田民生の歌詞を思い出し、再生の道を歩まなければ・・・

 ネットで調べてみたら、アニメ版『君の膵臓を食べたい』で僕の読んでた本が『やがて海へと届く』とあったんですが、本当ですか?

kossy
ゆり。さんのコメント
2022年4月12日

kossy様、私のレビューは厳しめなんですが、共感していただき・・・悪いわね、ありがとね・・・すみません。浜辺さんと岸井さんの表情が美しかったです。
テーマ曲は、その、亡くなった人の息遣いみたいに思えて、ちょっと怖く感じました。

ゆり。
カールⅢ世さんのコメント
2022年4月11日

東日本大震災が絡んでいますが、普遍的な喪失の話しとして成立させるためのソフトな演出で、それが良かったと思いました。鶴田真由を渋めに起用するのもなかなかでした。TVドラマ「ドクターホワイト」最初の3.4話は見てましたが、つまらなくなって途中から見なくなってしまいました。恋せぬ二人(NHK)は全部観ました。やっぱり、岸井ゆきのは味がありますね。

カールⅢ世