「希望を持ち続けることの意義」ラーゲリより愛を込めて ratienさんの映画レビュー(感想・評価)
希望を持ち続けることの意義
号泣です。
戦争が如何に悲惨なものか。終わったはずなのに、いつまで続くのか。どんなにたくさんの人が同じ想いをしたことか。
普段はあまり見るジャンルの映画ではないのですが、テレビ地上波放送ということで、録画しての鑑賞です。想像以上でしたね。最初からドップリ惹き込まれ、後半は泪が止まりませんでした。
【ネタバレ】
家族と離れて、一人シベリアの収容所に捕らわれることとなった山本幡男(二宮和也さん)。いつか日本で家族に再会することに希望を持ち続け、人間らしく生きる事を貫いて、周囲の人々に影響していく。
保身のために山本さんを裏切ることとなった上官の原さんをを安田顕さんが魅せてくれます。
当初は自分の卑劣さを恥じ、山本さんを遠ざけていたが、その人柄に魅了され、良き理解者となっていく。余命僅かとなった山本さんに遺書を書かせ、それを家族に届ける事に使命を感じる。
語りべの役割も担う松田さん(松坂桃李さん)。いつも、遠巻きに見つめながら、山本さんに心酔していく。
母親宛の遺書を読み上げるところでは、出兵中に亡くなった自身の母を重ね、ホンっと切なかった。
最初、気が付かなかったんだけどシンさん役のケンティがまた良かったですね。
兵士でもないのに収容された、ちょっとおバカを魅せてくれる。その明るさで、山本さんも救われていたんじゃないだろうか。
桐谷健太さん演じる相沢さん。根っからの軍人で、最初は嫌な奴全開だったけど、山本さんに生命も救われて、心酔していく逞しい男を魅せてくれました。
出兵中に身重の妻を亡くすなんて、ホンっと切ないったらありゃしない。
妻役の北川景子さんがメチャクチャ素晴らしかった。
子供4人を抱え、優しい逞しさを見せてくれる。そして、夫を想う時の可愛らしい表情がたまらない。それ故に、悲報を受け取った時の嗚咽には、心底共感して泪が止まらなかった。
やつれていく山本さん(二宮和さん)がホンっと切なかった。メイクの力もあるんだろうけど、演じたニノには、心底驚かされました。
最後には、家族の再会を期待していただけに、え〜、こんな終わりかよって感じで、亡くなったときはショックでしたが、遺書を伝えに行く仲間たちには心底感動しました。もしかしたら、この遺書を届けるということが彼らの新たな希望となっていたのかもしれない。
戦後の捕虜収容所?を描くことによって、より一層戦争の悲惨さを実感し、反戦映画として大いに心に刻まれる一本だと思います。
これが実話だってのが、なお切ない。