「これは事実に基づいた映画。戦争が引き裂く家族、そこに希望はあるのか。」ラーゲリより愛を込めて M.Joeさんの映画レビュー(感想・評価)
これは事実に基づいた映画。戦争が引き裂く家族、そこに希望はあるのか。
原作は講談社ノンフィクション賞・大宅壮一ノンフィクション賞をダブル受賞した『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(辺見じゅん・著)とある。事実に基づいた映画なのである。信じがたいが、シベリアの過酷な状況での収容生活・強制労働が終戦後にも関わらず11年も続き、日本で待ち続ける家族は死をも覚悟したかもしれないが、再会の希望を持ち続ける。
ロシア・ウクライナの戦争が1年にも及ぶ中、如何に戦争が多くの犠牲を生んできたか俘虜の生活はどうだったのか。映画館には平日だったが女性が多く、半数は若い女性であったのが、この映画の狙いとするところは若い世代に見てもらいたいことであろう。
ストーリーは公式ホームページに簡潔にかかれており、最後の「結」のところは触れられていないが、一番感動するシーン。「生きている限り希望を持ち続ける。道義を重んじる」ということ言っていたように思う。正義ではなく「道義」。人が実践すべき正しい道理。主人公は決して卑屈にならず、ソ連兵に対しても、いつ殺されるかは分からない状況でも伝えるべきことは伝えてきた。
俳優陣もそれぞれの役どころをとてもよく表現し、いいキャスティングであった。
この映画の後半に出てくる舞鶴引揚記念館を訪問したことがあるが、当時の状況を想像するによくぞ行きて帰ってきてくれたと思う。
TBSが制作に関わっているようで、直接は関係ないかもしれないが、この映画の作りはどちらかというとテレビ的な気がした。
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