劇場公開日 2022年12月9日

「監督の手腕、演者の力の賜物」ラーゲリより愛を込めて どんこさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0監督の手腕、演者の力の賜物

2022年12月13日
スマートフォンから投稿

泣ける

悲しい

幸せ

99%の人が泣いた!といった感動を全面に押し出した宣伝が嫌いで、今作も二の足を踏んでいた。ただ戦争、抑留といった、なかなか若い世代が足を運ばないであろう題材をあえて選び、若い人に人気の演者を当ててきたことに興味を持ち鑑賞した。

結果、瀬々敬久監督の力量を思い知る。オープニングこそ安っぽく感じたが、それ以降文句のない大作だ。劇伴もいい。ストーリーがシンプルな分、名もなき抑留者の方々をはじめ、演者の芝居が素晴らしい。安田顕の感情を殺した芝居、松坂桃李の引いた佇まい、桐谷健太のほとばしる生気。それを山本幡男氏の善性を体現した二宮和也が円く包み込む。

2時間強あるがまったくダレることなく、物語に引き込まれた。恥ずかしながら、肩を揺らすほど泣いてしまった。監督や演者、製作者の「伝えたい」の魂がこもっている。人に薦めたくなる秀作である。

どんこ