「絶望より愛を込めて」ラーゲリより愛を込めて 機動戦士・チャングムさんの映画レビュー(感想・評価)
絶望より愛を込めて
私は、誰に、何を遺せるのだろう。
凍てつく大地に、どれほどの絶望が、凍りついているんですかね。澄みわたる空は、答えてくれそうにもありません。
映画としては、全くひねらない作りなので、洋画好きには物足りないかも。戦争の狂気、ヒトのエゴや残忍性があまり描かれていないので、ちょっと単調かな。(この辺りに興味ある方は「サウルの息子」「サラの鍵」「カティンの森」をどうぞ。)
だが、それがいい。それだけでいい。この映画には、今の私達が、失いかけている何かが、あるような気がするから。
そもそも抑留ものは、このクニの負の記憶なので、エンタメ映画には不向き。と云うか、未だに凍土の下で眠る数えきれない絶望を、誰も知ろうとしない。私もね。それが、この実話と、あまたの役者さんの涙によって届けられました。後は、私達がどう受けとめるかです。細かいことは抜きにして、みんなで泣いてね。
永久凍土を融かすのは、ヒトがヒトを殺す業火なのか、それとも、ヒトがヒトを大切に想う情熱なのか、皆様は、どちらを選びます?。
噂レベルの報道ですが、凍てつく大地に、新しいラーゲリが造られているとか。無理やり国籍を変えさせられた方々が、黒海を超えて強制疎開させられたらしい。この噂が事実とすれば、本作を観た私達は、何ができるのだろう。
私は、誰に、何を遺すことができるのだろう。
「無言歌」
おそろしく空が蒼い映画です。澄みわたる空の下、ヒトは何ができるのか、何を想うのか?。ヒトにとって、ヒトは敵なのか?。マイナーな映画なので、視聴するのに苦労するかも知れませんが、併せご覧下さい。
追記
チャイニーズドラゴンって、いますよね。実はあのグループの創設メンバーに、多くの残留孤児の2世がいるそうです。もはや、残留孤児というワード自体、知らない方が多いはず。私が子供の頃、連日ニュースで聞いていた以来だから。その2世が、何故、血染めの半生を過ごすことになったのか。私は反社会グループを礼賛する気はありません。ただ、かつて大陸で何があったのか、戦争は終わっても、戦後に終わりはあるのか?。今なら映画を通して伝えることができるかも。描き方を間違えると、とんでもないバイオレンス映画になりますが、どなたか、挑戦してほしいテーマです。