「Soranji」ラーゲリより愛を込めて ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Soranji
期待はそこまでしていませんでしたが…とても面白かったです。不覚にも涙腺をやられるとは思いませんでした。
収容所に収容された山本幡男という実在の人物と周りの人々の希望と絶望を描く物語で、これでもかと泣かしに来ますが、しっかりと感動できますし、説得力もあるものになっていました。
収容所での生活を色濃く描いており、抜け出そうとしたら殺され、戦争時代の上下関係はまだまだ健在で、食料は少なく、病気や怪我で亡くなる者も多い中で、妻と約束した帰国を叶えるために山本が奮闘する姿はとても熱いです。南京虫の刑は悍ましすぎました。あんなに狭い箱の中で虫に噛まれ続けると思うと鳥肌が立ちまくりでした。収容所での生活の中で野球をしながら、希望を見出していくというのもまた良かったです。
役者陣の演技が神がかっているのもあり、物語は光り輝いていました。ニノの喜怒哀楽っぷり、癌になってからの痩せ姿から出すか細い声だったりと、ニノ史上最高の演技が見れたと思いました。ロシア語ペラペラなのもまた凄い。一番驚いたのはケンティーです。少し前まではおちゃらけたキャラが多かったんですが、実直な青年を演じ切っており、一皮剥けて強い役者に進化したなと思いました。
映像は神秘的でしたし、音楽も名曲を使っているのもありますが、物語に合っていましたし、美しさに磨きがかかっていました。
不満があるとするならば、おそらく原作には無かったコロナ禍の現在の様子はいらなかったかなと思います。メッセージを込めたいというのは分かりますが、完全に蛇足になってしまっていた感は否めませんでした。あと遺書を記憶したものを伝える過程を4人分見せられるのは長いなと思いました。新ちゃんのエピソードは一番グッときましたが。
今年観た邦画の中でもトップクラスに面白い作品でした。これはヒット間違いなしです。
鑑賞日 12/11
鑑賞時間 17:50〜20:15
座席 K-6