ワザリング・ハイツ 嵐が丘のレビュー・感想・評価
全1件を表示
到底理解も共感もできない恋人たちの原点に思わず納得
クリックして本文を読む
『嵐が丘』という小説は、読めば読むほど、そして知れば知るほどに古典という枠からはみ出した怪作であることに悄然とする。その中核にはヒースクリフとキャサリンという主人公カップルがいて、お互いを運命の相手だと確信し、その想いは揺らぐことがないにも関わらず、強烈に愚かでエゴイスティックであることから(また社会制度の限界から)自分たちだけでなく周囲のあらゆる人を不幸にしていく。その強烈な負のオーラがときに理解不能で、ときに可笑しく、そして異様な迫力につい呑まれてしまうのだ。
アンドレア・アーノルドによるこの映画版は、ヒースクリフとキャサリンの幼い時代により力点を置いていて、荒涼とした厳しい自然の中で完全に野生児として描くことで、ふたりの結びつきを視覚的に描き出し、なんかわからんけどわかった、もうお前らは一心同体でしょうがないです!とねじ伏せられる気持ちになる。
原作に比べると、二人が育つ環境ははるかに劣悪で不潔なのだが、だからこそ二人が自分たちの間の境界を失っていたかがわかる仕組み。まったくいいことが起こらない映画だけど、それも彼らの必然だったのだろう思わされる。実にパワフル。
コメントする (0件)
共感した! (2件)
全1件を表示