「「家族」という「異常事態」が生み出すボケの数々」夜明けの夫婦 エイブルさんの映画レビュー(感想・評価)
「家族」という「異常事態」が生み出すボケの数々
婚姻という「ある程度の知性」による繋がりによって、くっつき合って住まうことを常識とする、その「異常」を、「子づくり」という切実な危機(あるいはごく当たり前な成り行き、と期待されるもの)を通して、暴いている。
殊更暴こうとして暴かれているのではなく、「子づくり」をテーマに据えた時点で、爆弾が膨れて破裂していく様をとらえたスローモーション映像さながら、勝手に暴露されて、無限にとどまることがない。
人間性が朽ちていく。
喋れば喋るほど、グロテスクに壊れていく。
人間性は言語という「知性」によって獲得されるものじゃなかったのか。
自分が両親のセックスで生まれた事実をはじめて知ったあの少年の日の身震いが、苦笑いとともにふたたび甦る。
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