「記憶というものついて」恐怖分子 よしたださんの映画レビュー(感想・評価)
記憶というものついて
観たことがありそうで、でもほとんど記憶が残っていない。しかし壁一面の女の子の写真が風に煽られるシーンは強く印象に残っている。
ということで、デジタルリマスターを上映してくれるというので観に行った。
大きな球体のガスタンク。刑事の友達と最後の酒を酌み交わす時のつまみは何なのか知りたい欲求。話の本筋とは関係ないものばかりが記憶の底から蘇る。
反面、少女が男友達と美人局をすることや、小説が文学賞を貰った女が医師の夫を見限ることは、その場面がやって来ても思い出せない。
人間の記憶とはかくも物語を必要とするものなのか。それとも人間の記憶とはそもそも物語としての意味しか形を持たないものなのだろうか。
ストーリーを覚えていない映画は、もはや見た事実すら忘れているという、自分の記憶というものについて考えさせられた。
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