「次元潜航艇コスモ2205新たなる旅立ち」宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章 STASHA N Yさんの映画レビュー(感想・評価)
次元潜航艇コスモ2205新たなる旅立ち
ネタバレありです。
前章は確かによかったです。前章は。
前章で期待したみなさん気を付けてくださいね。
良いところ
・音楽の選曲と使いどころ(冒頭14分まで
・ヤマトがかっこいい(冒頭14分まで
・登場人物がかっこいい(冒頭14分まで
悪いところ
・冒頭14分を過ぎた瞬間から上記の良い点がすべてなくなります。
・ウジウジ古代君大復活!(セリフでは責任とか背負うとかやたらとかっこいいこというんです
・ヤマトがいきなり置物になる(波動砲口が時々光るよ!
・敵の知能指数がいきなり下がる(グレートプレアデス一瞬でカマセ&メルダースポンコツ化
・いきなりみんな心理描写も含め全部セリフで説明しだす。(またはじまった・・・
・音楽で無理やり持っていくけど、よく見れば何一つ目標を達成しない主人公サイド。(惑星破壊も効果なし、移民船団救出も謎UFOキャッチャーで失敗、デスラーの見せ場も失敗、スターシャ救出も最終的に失敗。成功してるようにみえるのは全てクルーの力ではなく波動エネルギー+音楽のおかげ。
・物語のキーポイントがすべて次元潜航艦頼み。「宇宙戦艦ヤマト」ではなく「次元潜航艇コスモ」になり果てる(ヤマトを活躍させろよ・・・
・イスカンダルが全部悪かったことに(そりゃないっすよ・・・
・スターシャが女王としても一人の親としても外道に成り下がる(無責任ですよ
・困ったときは、意見を言うのではなく、ボタンを押して止めてしまえばいいのだby土門(加藤ボタンの悪夢再来
・どこでも自爆ボタンが押せるイスカンダルのスーパーご都合スイッチ(これもボタンかよ・・・
・藪の家族再会の影で、ユリーシャが消える時、描写が一切ない雪(2199はなんだったんだよ・・・せめて対比しろよ・・・
・敵の黒幕の声優さんが旧作サーシャ&ルダ王女・・・(おいおい・・・
前章は新しい面も取り入れつつ、旧作へのリスペクトも感じさせながら、無駄なカットが少なく絵ぢからと音楽が相乗効果を出した作品に仕上がっており、「あの」菱型模様好きのスタッフの影響も消え、「お、ちゃんと2202からの新たなる旅立ちになったな」と期待していたのですが・・・。
残念ながらまたしても偶然だったようです。
物語描写が突然「足し算」ばかりになり、「引き算」が無くなりました。
パンフレットにも安田監督が福井さんとのインタビューで、前章はコンテの段階で削れるところがたくさんあったと言っていますが、後章はそれが難しくなったと書かれていることからも頷けます。
せっかくここまでのリメイクや旧作の悪いところを昇華させる千載一遇のチャンスをまた無駄にしましたね。
とはいえ悪意が感じられないのが2202との決定的な違いです。
「地獄への道は悪意ではなく、善意で舗装されている」とはよく言ったものです。
ただ、悪意のあったあのスタッフはもういないのですから、言い逃れはできません。
物語の設定や辻褄を優先するために、過去作や旧作の設定やキャラクターを落とすやり方は簡単ですが、副作用として旧作を落としているわけですからファンの反感を買います。
ヤマトの場合はオタク第一世代のみなさんは孫の成長を見守るごとく口出しせずお金だけ落とすと思われているのか、いやはや舐められてます。若いファンもいるんですよ。
旧作のスターシャは、不当な暴力に屈せず、女王として星に残り、親としては守にサーシャを預けて散っていった誇りある女性でしたが、今回は古代に詫びやお礼の一言もなく丸投げで消えてしまうなんて、女王としても親としても一番無責任です。
この世のどこに自分の娘を捨てて昔の男の所へ死ぬ間際に駆け寄る母親がいるのでしょうか。
2199の時にちゃっかり子作りしているのにも幻滅しましたが、2202の加藤の一件といい、こと「愛」に関しては福井さんがまともな倫理観で作られているとは思えません。
極端な例ですが、スターウォーズEP7~9にファンが怒り、マンダロリアンやボバフェットが逆にいま受けいれられているのは、前者が旧作の設定やキャラを落とすことで辻褄を合わせていたのに対し、後者はそれをできる限りすることなく、細かい旧作の伏線回収やむしろ昇華させる方向で新しい物語として成立させているからですが、残念ながらリメイクヤマトはそこのマインドが欠けていますね。
永遠にでさらに暴走しないか心配です。
あと黒幕に「あの声優」を起用するのは同じくパンドラの箱ですね。ささきいさおさんみたいにモブ艦長とかならまだしも。無理やりな旧作リンクはやめてほしいですし、ローグワン~EP8のキャリーフィッシャーの二の舞にならないといいんですが。
イスカンダルを悪者にするのは、2199で地球が先制攻撃したくらいいらない改悪です。
それでも2202まではリメイクはリメイク、旧作は旧作、という線引きがギリギリ出来ていましたが、まさかの声優ご本人登場という禁じ手を使ってしまったことで、それも難しくなりましたね。
背水の陣。
3199はもう劇場には行きませんね。残念です。
ロマンってそういうもんじゃないだろ。と。