ヴェラは海の夢を見る
解説
2021年・第34回東京国際映画祭コンペティション部門で最高賞の東京グランプリ/東京都知事賞を受賞。
2021年製作/87分/コソボ・北マケドニア・アルバニア合作
原題または英題:Vera andrron detin
2021年・第34回東京国際映画祭コンペティション部門で最高賞の東京グランプリ/東京都知事賞を受賞。
2021年製作/87分/コソボ・北マケドニア・アルバニア合作
原題または英題:Vera andrron detin
レビュー読んで頂ける方は、最後だけでも読んで下さい。勿論、ネタバレになります。
この映画は社会問題ではない。
余り賢明とは言えない高学歴女性の優柔不断な姿勢から生じた不幸。
この状況ではどうする事も出来ないが、そもそもの設定が甘すぎる。
・爺さんが賭け事をやっていたのは知っていた。
・警察を故意に呼ばないが、どんな国であっても、不審死の場合、警察は介入する。
・自殺を隠せた訳だから、保険金はおりるはずだ。従って、自殺した爺さんもそういった偽装死を想定していたはずだ。
・なんで、風呂場なんかで自殺するのか?飛び降り自殺が普通。
・判事になるような65歳のジジイが借金まみれで、遺言も残さず、お金の工面もせずに死ぬわけがない。
・娘の夫の所在がはっきりしない。
・娘はなぜ生活に悩んでいるのかはっきりしない。
・それでも、生活の糧になるとは思えない演劇を、なぜ続けるのかわからない。
・母親が遺産として手話の技術を会得したと話すのだから、理由わからない演劇は止めて、手話で生活する事を選ぼうとするだろうし、そういった流れになると思っていた
・この設定で土地の権利書にはサインしないだろう。稚拙過ぎる。
・手話通訳者なんだから、電話での会話はショートメール若しくはラインだろうが。
しかし、個人的な問題ゆえに、映画にするような内容ではない。それが結論。
我が同僚の旦那が突然死した時、日本の警察は尋問紛いの事を半日以上したし、解剖もしたそうである。
それは兎も角。手話には国際手話と言ったものがあるそうで、全世界にその周知義務にすべきなんじゃないかなぁ。そうすれば、言語の共通化が進むと思うが。
この映画?想像した通りに終了する『月曜サスペンス劇場』って所だ。づまり、月曜日だから憂鬱な一週間はまだまだ続く。スカッとした勧善懲悪の方がどれだけ『まし』か思い知った。
また
東京なんとかかんとかって言う映画賞を受賞したそうだが、東京都民がこの映画を見て、どこに感動する内容、若しくは、共感が持てると言うのか。それが全く理解できない。
裏社会は日本にもあるし、日本の地上げの話の方が深刻だと思うけどね。
鑑賞者の皆さん、コソボ紛争って覚えてます?
まぁ、演出家の一つの訴えは『コソボという国には海が無い』と言う事。それとコソボが隣国アルバニアと同じ民族って事を知らないとこの映画は日本人にはわからない。『裏社会に抵抗する女性!』位にしか見ていない。評論家も含めた皆さんがね♥
主人公のヴェラは幼い孫がいるぐらいの女性なんだけど、夫は急死するわ、やっと売れると思った不動産は親戚に奪われそうだわ、娘には嫌われてるわ、いろいろ大変。憤りや悲しさや恐怖を押し殺して喫する煙草の味がそれはもう苦そうで。特に、高速道路の建設現場をバックに吸ってる横顔が印象に残った。
タイトルにもなってる「海の夢」の描写はあまりいいと思わなかった。こういう心情をそういう夢で表すの普通すぎて、監督ここはどうしたんだろうと思ったぐらい。
テレビ局で手話通訳の仕事をしているヴェラの無表情さがそこはかとなく笑いを誘う。声に出して笑いはしないけど。
映画の9割がたは、クズな男たちにムカつく時間なんだけど、ちゃんとカタルシスはある。ヴェラと娘が車内に二人のシーンで、胸に温かいものが一気に満ちた。
余談だけど、向こうの人は着るものが素敵。お金が苦しい(という設定の)人も、古いものを着ているな、いつも同じものを着ているな、という印象にはなれど、そのどれも最初から500円だったものには見えない。ファストファッションの波が押し寄せてないだけのことかもしれないけど、そんなところから文化的な豊かさを感じる。ヴェラのコートも物がよさそう。
コソボの映画って初めて観たかもしれない。こういう出会いがあるのが映画祭のいいところ。今年の東京国際映画祭で私が最初に観た一本。終わってみればグランプリを受賞したということだった。
TOKYO FILM 2021
相続とか賭博とかウラ社会が話の中心をなしているだけに、かなり泥臭いストーリーだったけれど、神秘的な映像や印象深い音響効果で、内容とは裏腹に、作品としては非常に叙情的な印象でした。
嫌な流れのストーリーに、手話や現代演劇、途上の建造物とか遠景などをうまく絡めて、緊張感ばかりもちろんのこと、不思議と平穏な雰囲気も醸しだしていたような気がしました。
結末は決してハッピーではないかもしれませんが、なんかこれはこれで良かったのかもと思ってしまいました。