「【歪んだ社会構造の一端を目撃】」母の聖戦 Chang Kohさんの映画レビュー(感想・評価)
【歪んだ社会構造の一端を目撃】
クリックして本文を読む
娘をマフィアに誘拐されて、狼狽えてる間に身代金を奪われるも娘は戻らず。警察に訴えるが邪険にされまともに取り扱ってもらえず、別居中の腰抜け腑抜けの夫も全く以て頼りにならない追い詰められた状況下、軍に直談判を決行、自身の行動力で解決への接点を見出し娘の居処に迫る。
主演のアルセリア・ラミレスがごく普通の市井のおばちゃん顔から、修羅の如き鬼気迫る表情へと変貌してく様がとにかく秀逸。音楽を極力排したドキュメントタッチの演出も臨場感が高まって素晴らしい。
貧困が故に日常茶飯事に起こる、誘拐や殺人を始めとした凶悪事件を切り口に、歪んだ社会構造への強烈なメッセージをぶつけてくる作品。昨年鑑賞の『息子の面影』『ニューオーダー』同様、加害者が加害者に至る背景にも割り切れなさと歯痒さを感じざる得ない。
ラストシーンは観客に委ねられる。母親がふと顔を上げ表情を強張らせた先には、一旦は身元不明死体とDNA鑑定で一致したと思われた娘が戻ってきてくれたのか?それともマフィアの報復が迫ったのか⁇それとも⁉︎
コメントする