ジェームズ・ボンドとしてのレビュー・感想・評価
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ダニエル・クレイグさん、お疲れ様でした。
自分は007シリーズにそれ程特別な思い入れはなく、そのため007シリーズも何作か掻い摘んで観た事があるくらいで、全作観た事があるわけはないんです。 そんな自分の007への見方を変えてくれたのが、ダニエル・クレイグさんのジェームズ・ボンドなんですよね。 しかし、そのダニエル・クレイグさんも当初はかなり批判され、そこから世間の見方を180度変え、様々な苦労を乗り越えていく姿には、やっぱり感動してしまいますね。 “007シリーズってこんなに面白くて、ジェームズ・ボンドって、こんなにも恰好良いんだ!” そう思わせてくれた、ダニエル・クレイグさんには本当に感謝です。 長い間、お疲れ様でした。 これを機にダニエル版007、もう一度観返してみようと思います。
悩みつつも確信を持って前に進むダニエル
プロデューサーの役割は本当にすごいと思った。特にバーバラの語ることにはとても説得力があった。私も「エリザベス」のダニエルの姿を覚えている。出番は少なかったけれど、若い修道士役、ケープを翻して寒そうなイギリスのお城の回廊を歩むダニエルは本当にあの時代の人だった。バーバラに言わせればオーラがあった。 初めて見たのは「スペクター」だった。冒頭のメキシコの死者の日、仮装した人でいっぱいの街とパレードを見た時の興奮は今でも覚えている。そのときダニエルは怪我でほとんど歩けなかったとは! 肉体改造、痛みに耐えて平気な振りして歩きスタントをする。なんて強靭な精神力と体力を必要とする職業なんだろう! カジノロワイヤル、スカイフォール、スペクターそして最後の007と印象的な場面が次々と流れて、クランクアップの現場で仲間たちに挨拶をした時のダニエルの涙に心をうたれました。 饒舌で真摯に、でも冗談も言いなから話すダニエルは本当に素敵だ。まさにボンド史上でなく映画史上の素晴らしい仕事を成し遂げた🌟
【時代の転換点とともに/クールとパッションのはざま】
ダニエル・クレイグのジェームズ・ボンドは、時代の転換点とともにあったように思う。 ソ連が崩壊し、米国一強の時代が来るのかと思ったが、イスラム世界の台頭と、大規模テロで世界は混沌とし、ネットの広がりは、様々な社会システム・アプローチに変革を迫ると同時に、サイバー攻撃や、瞬く間に広がるデマに一役も買った。 そして、中国の台頭と、ふたたび世界を混沌とさせようとするロシア、金融危機による世界の混乱、民族主義を中心にしたポピュリズムの広がりと、イギリスのEU離脱、トランプの登場。 ダニエル・クレイグのジェームズ・ボンド作品は、こうした社会の変化を背景にしながら、従来のスパイ組織の在り方・考え方に踏み込むと同時に、スパイが人によって行われる限りは、単純明快で勧善懲悪なストーリーだけではなく、人物や因縁も描かなくてはならないという姿勢が、シリーズを通して貫かれていたような気がする。 僕が「カジノ・ロワイヤル」のレビューで名場面として書いた、ボンドがヴェスパーの指を舐める場面と、「スカイフォール」で描かれたロンドン・ナショナル・ギャラリーのターナー作「戦艦テレメール号」の前でのQとの邂逅の場面が、この「ジェームズ・ボンドとして」で重要な場面として取り上げられていたのは、ちょっと気分が良かった。 従来の007シリーズの決めゼリフに対するアプローチを変えたという件も、ほらレビューで書いた通りだと思って、これも気分が良かった。 このドキュメンタリー作品の冒頭、ダニエル・クレイグは、当初はクールな役が嫌だったと言っていた。 ロジャー・ムーアやピアーズ・ブロスナンは、ジェームズ・ボンドの前からクールな役をやっていたが、自分はそうではなかったからだと。 でも、決意としては、絶対にやってみせると心に誓っていたとも。 結果、ダニエル・クレイグはジェームズ・ボンドだったし、ジェームズ・ボンドはダニエル・クレイグだったと強く思う。 一度は、「スペクター」が辞め時と考えていたようだが、「No Time To Die」はダニエル・クレイグのジェームズ・ボンドの締めくくりにふさわしい作品だったように思う。 ダニエル・クレイグのジェームズ・ボンドは、時代の転換点とともにあり、そして、クールとパッションのはざまにもあったように思うのだ。
本編を観た方には是非お勧めしたい
クレイグ版ボンドのドキュメンタリー。 その15年に渡る軌跡をクレイグと一緒に辿る事ができます。 しかしシリーズだけでなく、ドキュメンタリーまで流してくれるプライムってすごいですね。 やはり当時のバッシングとプレッシャーは想像以上のものだったようで、その苦悩とそれを跳ね返す彼の並々ならぬハートを強く感じ取れます。 「精彩を欠く記者会見」「カリスマ性ゼロ」、本当ボロクソ言われてたんですね。これは酷い。 骨折時も撮影を続行した話は、本当にプロである事と作品に対する愛を感じました。 そして終盤までくると、端々からクレイグの寂しさも伝わってくるんですよね。作品と寄り添った15年、やはり長いですよね。 「トゥダイ」を観た後にこれを観ると物凄く灌漑深くなりますよ。 本編を観た方には是非お勧めしたい作品です。
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