シチリアを征服したクマ王国の物語のレビュー・感想・評価
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猪風船
吹替版で観たかったのですが、朝に弱い人間なもので夜の回の字幕版を鑑賞。
とても面白かったです。独特なアニメーションはプレステ2やゲームキューブなどの映像を彷彿とさせつつも、見たことのないアニメーションを体験できました。
デザインがデフォルメされつつもしっかりしたデザインで、クマは堂々としつつもかわいらしい感じで、人間は目がドンと大きく体はすっごく細い、そこから活きるコミカルな動きがとても楽しかったです。
前半はクマたちが食糧危機に見舞われ、人間から食糧を分けてもらうため国へと足を運ぶという感じで進んでいきます。人間側が思いっきり敵意剥き出しでクマを殺しにかかりますが、クマも野生味を思い出し、巨大雪玉で敵兵全部ぶっ飛ばしたり、魔術師が一時的に仲間になった際に猛攻してきたイノシシを風船にするというなんとも可愛らしいシーンがありました。とっても癒されました(イノシシにとっちゃ大迷惑な話ですが笑)。国へクマが乗り込み、一気に制圧していく映像もとても楽しかったです。息子のトニオがサーカスに捕まっており、それを救出しようとした際にその国の陛下が撃ち殺しますが、魔術師の最後の魔法で生き返らせるというハッピーエンドで前半は幕を閉じます。これが語り部の人間が知っている物語で、紙芝居風に進めていたのも良かったですが、聞き手のクマがその後の物語を語る後半も中々良かったです。
後半はクマが国の王になって統治するという物語が始まります。ここで野生の方がのびのびと暮らせていたなとレオンスは痛感しましたが、人間の強欲さに魅了されたサルペトルが裏で暗躍していき、レオンスは苦悩するというのが軸になっていきます。実写映画での政治となんら変わりのないくらい深刻な問題が詰め込まれており、ロシアの児童文学が原作とは思えないくらいしっかりしていました。ギャンブルもばんばん登場してます。
レオンスがサルペトルの暗躍に騙されて、人間のみを疑ったりして国民から反発を受けたり、サルペトルの囁きにより魔術師やトニオを牢獄に入れたりととにかく血迷っていきます。最終的にサルペトルが自身の巨大な像を作ろうとしていることが分かり、王座を狙っていると感じたアルメリーナたちがそれを防ぐため大蛇を呼び出し、サルペトルの政策を防ごうと奮闘します。レオンスが最前線で戦いますが傷つき、その無念を晴らすようにトニオが心臓に槍を突き刺し、父を救うという熱い展開に持っていきます。最終的にレオンスは息を引き取り、遺言でクマたちは山に戻るというクマの語る物語で幕を閉じます。語り部から聞き手になった人間たちは悲しい物語だなと悲観的な見方をして、商売にならないと切り捨てますが、ノンフィクションだとこういう終わり方になるんだよと中々教育的な面も備えている終わり方だなと思いました。
思わぬ掘り出し物でした。吹替版も時間が合えば観に行きたいです。
鑑賞日 1/30
鑑賞時間 18:10〜19:40
座席 F-7
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