劇場公開日 2022年1月7日

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「板書ロボットを作れば講義も楽なのに・・・」弟とアンドロイドと僕 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5板書ロボットを作れば講義も楽なのに・・・

2023年1月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 ずっと雨天。そして主人公桐生薫は自分の脚が自分のものとは思えず、常に片脚で歩いている。学科長からも疎んじられ、頼まれた道路補修ロボット開発もおざなり。そんな桐生のもとに腹違いの弟がひょっこり。死を待つだけの父親の借金のためにと金を無心してくるのだ。

 脚だけではなく、自分のアイデンティティーをも見失ったかのような桐生。安心するためか、存在意義を確立するためか、自分そっくりのロボット作りに没頭する。気持ちはわかるが、ロボット工学よりも哲学を学んだほうがまだマシな気もする。自己全否定するならば、親の遺産である土地・建物にすがるべきではないと思うし、別の生き方をするのが普通・・・だから変人扱いされてるんだね!

 阪本順治監督の意図はどこにあるのか。うざったいほどの雨降り映像。少女を自転車に乗せ、住まいとなっている元産婦人科医院の一室で危ない行為。そもそも彼の亡き母親が医者だったことはわかるが、詳細が不明のまま。

 アンドロイドと弟のやり取りという終盤の展開は冒頭に出てきた「ロボット三原則」の矛盾を描いたロボット映画の基本だろうけど、予算潤沢なSF作品とは違い、重苦しく、鬱陶しいテーマに置いてけぼりにされた。ただ、意識不明である父親の心の中に入っていくシーンは面白かった。タイトルも絶妙。

kossy