「【”砂上の楼閣上の新たなる高齢者セーフティネットと疑似ファミリー。”今作は、老人の生と性と死を軸に描きながら、人間の孤独や家族の本質について、観る側に問いかけてくる作品なのである。」茶飲友達 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”砂上の楼閣上の新たなる高齢者セーフティネットと疑似ファミリー。”今作は、老人の生と性と死を軸に描きながら、人間の孤独や家族の本質について、観る側に問いかけてくる作品なのである。
ー 高齢者専門の売春クラブ”茶飲友達”を営む佐々木マナ(岡本玲)は、厳しき実母とは反りが合わず、家を出て売春をした後に、”茶飲友達”を立ち上げる。
独りで寂しき想いを抱える老人を対象にし、クラブを運営するマナ。そして、町でも高齢者には優しい。クラブの運営者達や、”ティー・ガールズ”と呼ばれるコールガールも彼女を頼りにしている。-
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・当初から違和感を感じていたのは、マナが”茶飲友達”では優しく微笑んでいるのに、独りになると虚ろな表情をしている所であった。
・マナは、スーパーで死んだような目でボサボサの頭の老女松子が半額のおにぎりを盗もうとした際に、咄嗟に彼女を庇う。そして、彼女を”茶飲友達”の”ティー・ガールズ”として迎える。
ー この彼女の行為は、後半、彼女が病に倒れた実母に涙を流しながら言った”一度でも、頭を撫でた事がある?””褒めたことが有る?”と言う彼女自身の母に愛されない寂しき人生の代償行動であろう。ー
・そして、松子はクラブの売れっ子になって行く。男性と肌を重ねるうちに、ドンドン綺麗になって行く松子の姿。
ー 70代の老人の7割が性欲があると語られる。-
・又、妻を亡くした男や他の初老の男も松子と抱き合う事で、生の実感を得て行く姿。
ー だが、一人の男が松子がシャワーを浴びている間に首を吊る。松子はそれに気づいていても止めない・・。問い詰めるマナに彼女が言った”貴女には分からないわよ・・。一人では死にたくなかったのよ。”
そして、全てがここから瓦解して行くのである。-
・警察が介入する前、”茶飲友達”のスタッフや”ティー・ガールズ”は逃亡。相手に認知してもらえない妊娠をした女性スタッフも金庫の金を全て持ち逃げする。
ー 残ったのは、松子とマナ。そして、松子が言った言葉”貴女になんか、会うんじゃなかった・・。”マナの自分の寂しさを癒すために造った”ファミリー”はアッサリと崩壊するのである。-
■警察の取調室で、マナは女性警官に”ルールに捕らわれない正義がある”と主張するが、”ルールはルール”と相手にもして貰えない。
マナの方に心が行っていたので、”そーいう杓子定規な対応をしているから、高年齢化社会の現状は変わらないんだよ。!”と内心思う。
そして、面会者が来る。マナの実母である。実母が言った言葉。”家族でしょ。”
物凄い、シニカルな展開である。
<劇中、”自分の孤独を他人の孤独で埋めるな!”という台詞があるが、マナの行為が正にそれである。
けれど、きっと、マナは本当に孤独な老人たちに生の喜びを与えたかったのだと思う。
だが、法を犯した報いは大きい。
マナたちが新たな客層として目を付けた老人ホームの男性達はホームを追い出されると、婦人警官は素っ気なく言うのである。
今作は、老人の生と性と死を軸に描きながら、人間の孤独や家族の関係性について、観る側に問いかけてくる作品なのである。>
<2023年4月16日 刈谷日劇にて鑑賞>
1日に劇場で3作観るのは多いと言って3作観る変態NOBUさんこんばんは~(笑)
同じく変態の私ですよ!
また今週末楽しみの作品ありますね~
またよろしくお願いします🙇