「ギレルモ・デル・トロ監督の傑作!」ナイトメア・アリー たいちぃさんの映画レビュー(感想・評価)
ギレルモ・デル・トロ監督の傑作!
TOHOシネマズ日比谷にて鑑賞。
「さすが、ギレルモ・デル・トロ監督!」と言わざるを得ない素晴らしい映画だった。
1930年代~40年代のアメリカの雰囲気を醸し出す美術・衣装、特に「見世物小屋の造形」は芸術作品に見えるオリジナリティ。
また、この映画の原作は、エドマンド・グールディング監督作『悪魔の往く町』(タイロン・パワー、コリーン・グレイ等出演)で一度映画化されているが、あの作品は当時のヘイズコードなどの制約によって、かなり限定された表現になっていた。
あの電気女シーンは有名で、ブロードウェイ版DVDのジャケ写にもなっている。
本作では、表現上の制約を取っ払って、ギレルモ・デル・トロ監督がノワールの雰囲気を漂わせながら、見世物小屋からショービズ世界へ進出する男スタン(ブラッドリー・クーパー)が連れていくモリー(ルーニー・マーラ)と順調にいきそうな姿を見せる。しかし、心理学者リリス(ケイト・ブランシェット)と出会ったことが運命を変えていく……といった物語をじっくりと見せてくれる。
夢・狂気・殺人・騙し合い・独特な造形などなど、あらゆる物をごった煮にしたように見える映画だが、筋の通った物語が素晴らしい。
しかし、デル・トロ監督は、大傑作『パンズ・ラビリンス』でもそうだったが、本作でも「目玉を使った美術」が好きだなぁ…と思う。
また、その物語を支える役者たち……ブラッドリー・クーパー、ルーニー・マーラ、ケイト・ブランシェット、ウィレム・デフォー、トニ・コレットなどの演技も良かった。
特に、ブラッドリー・クーパーはデル・トロ監督の目指した「ダーク感」を見事に体現していたと思う。
またもう1本、「何度でも観たい映画」が生まれてしまった。
滅多に買わないパンフレット(定価840円)も購入。(今年初)
このパンフレットとキネマ旬報最新号(2022年4月上旬号)の特集記事を読んで、しばらく、この映画世界に浸りたい……そんな感覚になる傑作。
<映倫No.49037>