「痣は、わたしを主張している。」よだかの片想い 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
痣は、わたしを主張している。
生まれつきの頬の痣に、何がしかの影響を受けて生きている大学院生の
前田アイコ(松井玲奈)は、ある日、痣と共に生きるている状態を
「痣のある自分も、一歩、前に出て良いのではないか?」
そう考えて取材のインタビューに応じる。
インタビュー集は本になりアイコの写真が表紙を飾る。
本は話題になり、ベストセラーになる。
それを読んだ映画監督の飛坂(中島歩)から、映画化の申し出を
受ける。
アイコは考えた末に了承する。
恋愛関係の描写を抜かせば、芥川龍之介の「鼻」のような話しである。
アイコは痣のある自分と半ば共存していて、憎からず思っているのだ。
痣のある自分を信頼できる人を選別して付き合ってこれた、と
ポジティブに捉えている。
美容外科を訪れたアイコはレーザー治療でほぼ治ると聞き、
安堵とともに、痣のある自分に愛着も実はあるのに気づく。
原作が「RED」や、「ナラタージュ」「ファーストラブ」に次ぐ
4作目の映画化となる島本理生の作品。
原作がしっかりしているので登場する友人や研究室の
後輩(青木袖)などの脇役にもに納得感が持てる。
音楽もオリジナルの前衛的クラシックで、センスがいい。
痣はいつでも消せる。
アイコは取り敢えずは前向きに生きようと決めたのだろう。
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caduceusさんのコメント
2025年5月29日
共感ありがとうございます。松井玲奈は、演技力もあるし、なかなかいい雰囲気ですよね。
フジコ・ヘミングは、確かに毒舌キャラですが、ピアノは感動しますね。生で聴くと本当に感動するでしょうね。いいドキュメンタリーでした。