「とてもいいもやもや感」よだかの片想い ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
とてもいいもやもや感
独特な雰囲気がある。原作は島本理生なのか。安川監督はDressing upは観たことがあるが確かにこんなもやもやな感じはあったかも。もやもやはいい意味で。
もちろんもやもやは主人公の設定でもある。肉体的コンプレックを抱え、それが故に子供時代に一瞬だけ優越感を感じ、その光が常識的親切心から消えたりを経験し、そんなもやもやした思いを抱えて大人になった女性。それを松井玲奈が好演。かなり適した配役。凛としてまっすぐ、でも常識と非常識、好奇の目でも見られきた中でのプライド、そして人を見る目、など独特なキャラクターには会っていた。そして映画監督を中島歩のへなへなした日常性が包み込む。
もやもやはセリフがないところの空気感。もやもやというかふらふら、というか、そのキレぎわにパッと差し込む何か。部屋を漂うカメラの流れでふわっとキスに至るところや、撮影現場で主演女優がさっと入り込むところとか、そして最後の雲間の奥の光に手を向けて踊り出すところ。
痣は結局とることもできるし、化粧で隠すこともできることになった。でも痣と痣があるからこその視線というものをなくして生きていくことはないだろうそのもやもやした、でもその先に光がある感じで貫かれた映画だった。
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