「【”素顔のまままで・・”顔に痣がある事で過去にトラウマを持つ女性が、痣を気にしない男性と恋に落ちる中で、自分自身とも向き合って行く一人の女性の心の成長を描いた静謐な作品である。】」よだかの片想い NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”素顔のまままで・・”顔に痣がある事で過去にトラウマを持つ女性が、痣を気にしない男性と恋に落ちる中で、自分自身とも向き合って行く一人の女性の心の成長を描いた静謐な作品である。】
ー 今作は”等身大の女性のリアルを紡ぐ”がコンセプトの「ノットヒロインムービーズ」第二作である。
一作目は「わたし達は大人」、そして第三作目は12月公開予定の、三浦透子さん主演の「そばかす」である。楽しみである。ー
◆感想
・生まれつき、顔の左側に琵琶湖の様な形の痣がある、大学院生アイコ(松井玲奈:今作の様な、抑制した演技がとても巧い女優さんだと思っている。)は、小学校時代にそれを揶揄ったクラスメイトを叱った、男性教師の”言葉”に傷ついたトラウマを抱えながら暮らしていた。
ー 原作とはやや違うが、巧い設定だと思う。
気にしていなかった痣の事を、先生が良かれと思って言った言葉が逆に、トラウマになってしまったアイコ。
故に、彼女は常に一歩引いた態度で、静に暮らしている。ー
・だが、彼女はどうしてもと頼まれ、「顔が私に教えてくれた事」というタイトルのルポルタージュ本が切っ掛けで、映画監督の飛坂(中島歩:注目している俳優さんである。)と出会い、彼の痣を気にしない態度に、徐々に惹かれていく。
ー ”貴方は、私の左側の痣を否定しないと思ったからから・・”と言って、彼の”右側”に座るアイコ。彼女は、この時点で飛坂に恋をしてしまったのだ。ー
■今作には、悪性のある人間は登場しない。何故なら、アイコの周囲の人間は、外観で偏見を持つような輩はいないからである。
それを、初めて気づかせてくれたのが、飛坂だったのであろう。
彼から贈られた、コンパクトが飛坂の気持ちを表している。
明るいミュウ先輩(藤井美菜)や、同じ研究室の後輩原田(青木柚)も同様である。
原田は、アイコに告白までしている・・。
・彼女の書いた本が映画化されることになり、飛坂の元恋人美和(手島美優)が主演に。だが、アイコは徐々に、飛坂が自分に近づいたのは”映画を撮るためではないか・・”と疑心暗鬼になって行く。そして、アイコは飛坂に別れを告げる・・。
ー この辺りは、もう少し丁寧に描いて欲しかったかな・・。-
・ミュウ先輩が、顔に火傷を負ってしまった時にアイコが言った言葉
”私、痣が有っても良いと思うんです・・。”
<そして、アイコは、傷の癒えたミュウ先輩にファンデーションを塗って貰い、笑い合い、爽やかな顔で、前を向くのである。
”アイコは痣の手術はしないで、素顔のままで自分自身と向き合いながら、歩んでいくのではないかな・・”と思った、一人の女性の心の成長を描いた静謐な作品である。>