劇場公開日 2022年10月7日

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「一本だけしか観る時間がないならこちらが良い」僕が愛したすべての君へ 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5一本だけしか観る時間がないならこちらが良い

2022年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2本の映画の連作で、どちらを先に観るかで感動が変わるという宣伝の仕方をしていたが、僕はこちらを先に観た。でも、もう1つの『君を愛したひとりの僕へ』を先に観る方が王道の見方かなと思った。
こちらのストーリーが明白な結末を持っていて、ラストシーンのやり取りは、もう一作を先に観ていたほうが明らかに意味がわかりやすい。それでも、本作は一本の作品としてきちんと完成されているので、もし一本しか観る時間がないという人がいたら、こっちを観た方がいいと思う。
ふとした物忘れの瞬間などは、並行世界の自分と入れ替わっているというのは、面白い発想だと思う。並行世界論などは、SF的なギミックとして物語で登場する。この作品もふんだんにSF要素があるが、もっと日常生活レベルに並行世界が存在する感覚として落とし込んでいるのが新鮮。
何人も自分がいる可能性を示唆する鏡を使った演出も巧みだった。
わずかな出番で強烈な説得力ある芝居を聞かせてくれた平野文さんはすごい。

杉本穂高