「五感で感じる映画」土を喰らう十二ヵ月 Pandaさんの映画レビュー(感想・評価)
五感で感じる映画
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四季の移ろい、食を含めて自然の豊かさを五感で感じる映画でした。しいんとした田舎の古民家で登場人物が食べる「音」がやたら響きます。耳で味わうことができるのです。そして、ツトムが雪からほうれん草を取り出すシーンや、 蛇口の水で野菜を洗うシーンは、本当に冷たい気分になるんです。ほくほくした小芋を味わうときは、自分もアチチ、と思いながら見てる。村の人たちに評判のいいゴマ豆腐も、無意識に想像しながら自分も味わっている。いつのまにか、自分も体験している、そんな映画でした。
沢田研二さんも松たか子さんも、ほかの共演者さんたちも自然な演技で素晴らしかったし、映像的にもとても美しかったし、最高、といいたいところですが、ストーリー的に疑問を感じてしまったのは否めません。死生観に浸って「みなさん、さようなら」って死ぬ覚悟はいいけれど、このまま死んであとに残ったサンショのことは考えていないのかしら?とか思ってしまいました。
でも、最後の沢田研二さんの歌が素晴らしすぎて、疑問なんて吹き飛んでしまうくらい、観終わったあとすがすがしくなります。こんなに心にしみる歌を歌う人だったんですね。子どものころの流行歌手といったイメージだけでしたが、歌い方も声も伝わってくるものが素晴らしい。歌を聞いていてここまでじいんとしたのは初めてです。すごい歌手だと思いました。(今さらですみません)ぜひまたTVでも歌っていただきたいです。
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