映画レビュー
怖いのはモンスターより人間関係
テレビドラマ『時をかける愛』主演のアリス・クーが助演で出てるからという理由だけで観た。どっちかっていうと船内の複雑な人間関係によるいざこざがメインで、巨大蜘蛛はむしろ添え物。B級モンスター映画かあ、興味ないなあと思ってた僕としては、むしろ意外と楽しめた(笑)。アリス・クーは名前は2番目に出るが、映画に出てくるのは30分以上過ぎてから。群像劇のためもあって、あまり2番手という感じではない。もう1人、男のふりをして料理人として働いてる女性が出てきて、その娘もなかなか良かった。その2人がいなかったらむさ苦しい男だけの映画になっていただろう。主演のサニー・ワンはどっかで観たなと思ったら中国ドラマ『三国志 Secret of Three Kingdoms(三国志 秘密の皇帝)』に郭嘉役で出てた人だった。
何故、海の怪物が毒蜘蛛なのかしら?
怪物が出てくる中国の海洋冒険SF映画ではあるが、アサイラムの定番のサメとちがってこちらは大きな毒蜘蛛、なぜ海に蜘蛛が?、理解不能だがどうやら放射能汚染物質を積んだ船が難破したせいで生まれたらしい、なんとなくゴジラのルーツに近い、それにしても邦題のザラタンはイスラム伝説に登場する巨大な亀や蟹なんだから配給会社も蜘蛛ではなく蟹にしたかったのでしょう。
まあ、蟹より蜘蛛の方が動作は機敏で絵になるし、毒蟹といえばスベスベマンジュウガニくらいだから蜘蛛ですかね。
この手のパニックものは不気味で怖いクリーチャーが出てくるなら、観客は常識的なことには、こだわらないだろうと踏んだのでしょう。
主人公は元海難救助隊員、救助活動中に死んだ隊長の事故の責任やお産で死んだ妻の責任まで背負わされれているが、彼の罪ではないのに無理やり濡れ衣を着せられます。
主人公像としては、理不尽に世間に冷たくあしらわれ、不運ながら幼い娘を抱える勇敢で優しい正義の人として観客に同情を買われるようにしたかったのでしょうが、あまりに作為的なシチュエーションに思えて頂けません。
肝心のVFX部分はお金がかかるのかおまけ程度、映画の大半は船員たちの仲間割れ騒動だから、そんなのどうでもよいでしょうと投げ出したくなりました。