パーフェクト・ケアのレビュー・感想・評価
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ロザムンド・パイクが『ゴーン・ガール』並みにキレまくる
判断能力が不十分と診断された老人たちの法廷後見人となって、財産を良いように管理するヒロイン、マーラの正体は悪徳後見人。この法律の網の目を潜ったようなキャラ設定が、まず新鮮。そして、物語の前半まではマーラの手慣れた悪行がうまく進むものの、ある時、いつもの手口で管理しようとした老女に意外な背景があることが分かってからの後半は、マーラと双璧をなす悪者との攻防で楽しませる。このあたり、犯罪映画のルーティンが小気味よく決まっている。
話をパワフルに牽引していくのは不敵な面構えが妙に板につくロザムンド・パイク。頭脳明晰で、自分の中に絶対に譲れない境界線があり、それを死守するためなら何だってやるというキャラクターは、勿論、『ゴーン・ガール』で培ったものだ。何が起きても表情一つ崩さない演技は、気がつくと彼女の独壇場である。
マーラが絶体絶命の危機をいかに切り抜けていくか?という第4幕まではいいとして、その後の幕切れは若干凡庸にも思えるが、それでも犯罪&悪女ものとして存分に楽しめた。
今後の高齢化社会に警告を鳴らすクライム・サスペンス・コメディ映画。ゴールデングローブ賞主演女優賞も納得。
新型コロナの問題で影が薄くなっていますが世界一の高齢化大国・日本において「認知症」などの問題は、これからますます顕在化していくものとしてあります。
「認知機能の低下」によって財産の管理ができなくなり、悪徳な業者が跋扈するリスクも高いのです。
国の社会保障制度などにより仕組みも変わるもので、医療を受けるのもお金次第のアメリカでは、まさに本作のような「法定後見人」の制度を使ってやりたい放題できる環境にあるとも言えます。(実際に「アメリカでのニュース」から着想を得て、この映画が生まれています)
個人的には日本では民間よりも行政が対応した方が良さそうな気はしますが、これは各国の政治マターで決まるのです。
さて、本作は、何といっても第78回ゴールデングローブ賞で主演女優賞(コメディ・ミュージカル部門)を受賞したロザムンド・パイクの2面性が見どころの一つでしょう。「ゴーン・ガール」でもそうでしたが、もはや「そういうキャラクター」にしか見えない演技力があります。
そして、映画の題材のリアリティーも含め、展開がとにかく面白い!
年代を問わず誰もが関係のある高齢期の社会問題を考えるのにも適した作品です。
この突き抜けたロザムンド・パイクは見もの。
J.ブレイクソンという名を聞いてハッとした。かつて「アリス・クリードの失踪」という作品で、極度に制限された物語空間を自由自在に泳ぎ回るミステリーの筆致に心酔した記憶があったからだ。本作も序盤からなかなかぶっ飛んだ切り口で、とにかく主演のロザムンド・パイクが突っ走る。この見る者に寸分も親近感と共感を与えないキャラクターの悪行ぶりはピカレスクとでも呼びたくなるほどだが、やがて彼女が自業自得のピンチに陥っていく様に「それ見たことか!」という感情が吹き出し、それでも彼女が歯を食いしばろうとする様に、また別の不可思議な感情が湧き出してくる。いかに世の中を出し抜けるか。その一点にのみ全てを注ぎ込み、もはや恐れるものを知らないヒロインの度胸が圧倒的なのだ。共演陣も実に多彩で、抑え気味ではあるが、要所要所で優れた味わいを放つ。全体を彩る陽光に満ちたカラートーンといい、ブレイクソンらしい仕掛けの多い一作だ。
リアリティを感じるのが実に不快。
クソ女上等! 悪だって男には負けないわよ
パーフェクトケア
2020年、米国映画
肌触りが普通の映画とは違いました
とにかくロザムンド・パイクが凄い
悪徳介護ビジネスの女のお話なのですが、それは映画の掴みにしか過ぎなかったように感じました
監督が映画にしたかったのはタフな悪女の物語だったように思いました
クソ女というワードが際だっていてそれを象徴していました
なんで女だけ、クソ女と言われなきゃならないのよ!ということを大声で言い返してきたように思えました
監督にはクソ女の悪行は別に何だってよかったのかも知れません
監督の言いたいのは、どうせ女だからマフィアの男達から脅されたら泣き喚いて許して!、助けて!というシーンを期待してるんでしょ?あなた達?
それとも誰か白馬の騎士のハンサム男性が助けに入ると思ってるんでしょ
それってあまりに男性中心視点じゃないの?気づいてる?あなた?
そんな風に説教されているように感じられて仕方ありませんでした
主人公が男性だったなら、この映画の展開だってふーんそんなもんかてな具合に右から左なんでしょ?
たとえば、主人公がアラン・ドロンだったらどうなのよ?
女だってもこのようなお話が成立するわけよ、女をなめるんじゃないわよ!と監督の声が聞こえてくる気がしました
だから、マーラはレズですし、敵対するマフィアのボスは男性であっても小人症なのだと思いました
マーラからは、マフィアのボスが大男であっても小人であっても同じ、体の大きさや腕力の差なんかではたじろぎはしない、それを視覚化しているのだと思います
知能と肝っ玉の勝負よ!それなら男も女も平等でしょ!
そういう主張であったと思いました
それこそが本作の主題だったと思いました
介護ビジネスがどうとか、監督にとってはどうでもよかったのかも知れません
結末
クソ女が呆気なく撃ち殺されて、スッキリします
それもクソ女!と最初に言った男によってです
ハイハイ、あなた方これで満足でしょ?
クソ女が大成功したまま終わったらメチャクチャ貶すんでしょあなた方男性は?
お望みどうりにしてあげたから文句無いでしょ?
そんな風に啖呵をきられた気がしました
やっぱりね
テンポ良く話が転がるので、グイグイ引き込まれていく。富裕老人をカモに、財産を巻き上げる手際の良さ、法廷での賢い交渉ぶり、一部の隙もない。しかし、アメリカの法定後見人の法的権限が、めちゃめちゃ強くないかね。これって、資格の必要な職種なのだろうか。そうであって欲しいな。もっとも、法的知識を駆使して、病院と施設と三つ巴では、なかなか悪いことを暴露するのも難しいな。いやー、うまい。うますぎる。
あまりマーラの過去は取り上げないが、母親に対する言葉と、男への態度などから、いろいろ修羅場をかいくぐってきたことは想像できる。法律を武器にするところは目の付けどころがいいし、それを駆使できる頭の良さはなかなかのもの。マーラの強さと、退路をふさがれても諦めず、ふてぶてしく道を探す強さにはしびれる。あまりの強さに、敵も折れた。
しかし、悪いことをしたら、やはり自分に返ってくる。奢れる者は久しからず、盛者必衰の理をあらわす。平家物語の言うとーり!
テレ東の放送を録画で視聴。
正しさとは…目まぐるしい2時間
健康で長生きしなあかん
この映画には善人が存在しないのか?
最初はマーラは怪しいけれどいい人と思っていたがこれが結構あくどい。
どっかで善人に変わると思っていたが最後まで替わらず。
ロシアマフィアのおっさもええ味出していたけれど登場人物誰一人共感できない変わった映画だ。
ただ、えげつない内容も物語が進むにつれハラハラドキドキ感はヒートアップ。
言うたらそれだけ。
最後のオチで少しは溜飲下げたが主人公があんな形で終ってしまったら普通、涙の一粒でも出そうなものだがそれもなかった。
「マーラはええ商売見つけたなあ。」と思ったがそれ以上に「認知症にはなりたない」と強く思った。
今回見て良かったのはこの映画がそう思わせてくれたことくらいかなあ。
☆☆☆(ディンクレイジ登場前) ☆☆☆★★★(ディンクレイジ登場後...
☆☆☆(ディンクレイジ登場前)
☆☆☆★★★(ディンクレイジ登場後)
映画フアンに言われている格言
〝 潜水艦映画にハズレなし 〟
もう1つオマケに…
〝 脱獄映画に名作多し 〟
まあ、後者には時々ハズレっぽいのがたま〜に紛れ込んだりしますけどね💧
そんな格言に加えたいくらい…と、ここ数年個人的に感じているものに、、、
《ロザムンド・パイク主演映画にハズレなし》
…なんでありますよ旦那!
映画の途中で店のオヤジに怪訝な顔をされながらも委細かまわず、寒さに震えながら着替え始める場面は最高でした。
特筆したヒット作品こそないものの、確実にアベレージを残している気がしますね。
吉田正尚…とは言わんけど、元木、、、ゴホッ!(ー ー;)
気を取り直してもう1つ言うと、、、
《ドロップキックが飛び出る韓国映画にもハズレなし》
………あ?脱線したので戻します💦
介護ビジネスを装ったチンケな犯罪で儲けている女性コンビの2人。
なかなか興味が湧く話だ…と思って観ていたのですが。前半は思っていた程には映画が弾けてはくれない。時々ウトウトっとしてしまったくらい。
それが、ピーター・ディンクレイジが登場する中盤辺りになって、やっと映画が走り始める。
ここからは、稀代の性格俳優ディンクレイジの存在なくして映画が成立しなくなってくる。
正直に言ってしまうと、作品を見ようと思ったきっかけとして、介護ビジネスの隙を突いた詐欺まがいな話に少しばかり興味があったのですが。映画の途中からは、ロシアマフィアがストーリーに割り込んで来る、普通の犯罪作品になってしまっているのがちょっとだけ残念な感じですかね。
しかも非情さが【ウリ】のマフィアであるのに。この相棒コンビだけは簡単には殺さない…等の都合の良さが発動してしまっていたり、、、と。マフィアを巡っての演出や話の展開がツッコミだらけなのは「ちょっとね〜」ってところでしょうか。
但し、ディンクレイジVS女性相棒(と言うかパートナー)コンビの後半は充分に楽しめました。
…ん?ロザムンド・パイクの話で始めたレビューなのに、途中からディンクレイジの話に移行してしまってますね、、、
まあ、仕方がないってのはありますね。
何たって
〝 ピーター・ディンクレイジ出演映画にハズレなし 〟
ですから。
そう思っていたら、何と2022年早々にピーター・ディンクレイジ《主演》映画が公開のニュース。
驚きのシラノ・ド・ベルジュラック役がディンクレイジ。
しかもしかもしかもしかもなミュージカル(@_@)
もう楽しみしかないぞ。
あ?肝心の映画本編ですが、後半はそこそこ面白く観ましたハイ
2021年 12月3日 角川シネマ有楽町
悪女
「ゴーン・ガール」ですっかり悪女イメージが板についてしまってロザム...
ロザムンド・パイクの演技があっての一本
日本でも成年後見人の非行(成年被後見人の財産の横領・使い込み)は、世上、よく新聞紙上を賑わしたりしますけれども。
こういう映画が作られるということは、この問題は、洋の東西を問わないのかも知れません。
たとえ判断能力がなくなってしまったとしても、評論子には、後見人に管理してもらわなければならないような、めぼしい財産がないことの安心感を改めて噛みしめることのできた一本であることはさておき、成年後見人制度の暗部を浮き彫りにする社会派の作品…否、一種の「クライム・サスペンス」というべきなのかも知れませんが…、そういう作品として、決して二流には落ちない一本だと思います。
ことに、主演を張ったロザムンド・パイク、彼女の魅力炸裂いう点も、特筆すべき一本でしょう。そのことについては、他のレビュアー諸氏も異論のないようです。彼女の演技あっての本作と言えると思います。評論子も。
マフィアの策略でクルマごと沼に叩き込まれ、あわや溺死の危機に瀕しても、冷静にシートベルトを切断し、ウィンドウを叩き割って脱出。ずぶ濡れのままロードサイドの店に入ると、体力温存のための食料と着替えを買い込むと、顔色一つ変えずに、レジのオヤジの眼の前で下着一枚になって(そのまま着ているとどんどん体力が消耗してしまう)濡れた衣類を脱ぎ捨てて着替える…。
そういう点では、『ゴーン・ガール』でも魅せた彼女の「胆の座りっぷり」ということでは、決して『ゴーン・ガール』に引けをとらない一本だったと思います。
良作ではあったと思います。
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