劇場公開日 2023年6月16日

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「どちらかに寄せたほうが良かったのではないかなと思える一作」カード・カウンター yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5どちらかに寄せたほうが良かったのではないかなと思える一作

2023年6月17日
PCから投稿

今年198本目(合計849本目/今月(2023年6月度)23本目)。

イラク戦争および、無茶苦茶な待遇が問題となったアメリカの刑務所関係と、その刑務所から出所した男性がかかわるギャンブルのお話です。

前者については日本でも批判的に報道された経緯があり知っている方も多いと思いますが、いかんせん少し前で最近はほとんど放映されないので(アメリカ視点では、今はウクライナア侵攻でいっぱい)、ちょっと忘れたかなという方も多いと思います。

一方、ギャンブルパートというか、映画のタイトル通りの部分に関しては、ポーカー等トランプのルールに関する理解が要求されますが、それ自体は「一応は」日本でもメジャーなゲーム(トランプのゲームルールの一つ)なので、そこまで傷はないかな…と思いきや、要は結局、お客さんと胴元(カジノやカジノを経営するホテル等)との「賭け式」や「払い戻し率」といった論点が多数含まれるところ、日本ではそれはご法度であり(ポーカー等自体は禁止されていないが、それをギャンブルにして賭け事にするとアウト)、ルール自体は「疑似カジノ」(金銭などを賭けないタイプの遊戯型施設などで見られる)で知っている方も多いと思いますが、個々具体的な賭け式だのオッズだの胴元の取り分だのといった話は日本ではなじみがなく(というより、日本からでは、ラスベガスなり、カジノが合法的にできる国でちょっと遊んだ、くらいしか考えられない)、そちらでの見方もちょっと厳しいです。

特に後者に関しては説明もなく、タイトルにあるいわゆる「カードカウンター」(カードカウンティング)は、一般的に胴元が有利(換言すれば、客が不利)になるこれらの賭け式において客側が有利に持っていこうとしたテクニックの一つを指すところ、これも当然日本では「出番がない」上に、そのために一応の説明はあるものの、上記の刑務所シーン(なお、これらの虐待シーンほかが激しすぎるのでR15になったものと思われます。ギャンブルシーンではせいぜいPG12程度)もどんどん出てきて、中途半端なストーリー展開のまま、そのまま終わってしまうという部分を兼ねてしまいます。また、前者(ギャンブルのこと)が日本ではそもそも関係ないのと同様に、日本では刑務所であっても最低限の人権は守られるので(日本国憲法)映画のような描写にならず(戦後の混乱期等除く)、そのどちらの解釈にとっても、日本ではかなりなじみがなかったりしますので、どう見るのか…というのが難しいです。

そのようなことまで考えると、採点としては、

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 (減点0.5/何を述べたいか、映画の主義主張が(日本国内では)はっきりとしない)

 …という点に大半つきます。
 アメリカにおける刑務所などの人権問題の問題提起と解するならそちらに寄せるべきだったし、ギャンブルの紹介(ただし、日本では賭け事としてはできない)として見るならそちらに寄せるべきだったし、どうみたらよいか…というのがかなり中途半端に思えます。

 典型的な「日本で放映されることを想定していない」(そもそも刑務所の人権蹂躙問題は先進国ともいえるアメリカのその例が特殊すぎで、およそ先進国というような国でそんなことをやっているとアウトな事案)というタイプの映画では…と思えます。
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yukispica