「異色の西部劇 やっぱり西部を描いている」パワー・オブ・ザ・ドッグ Birdさんの映画レビュー(感想・評価)
異色の西部劇 やっぱり西部を描いている
モンタナ州は今でも「偉大なる西部」と呼ばれているそうで
きっと壮大な自然が広がる所なんだろう
1920年代が舞台というから時代的には『ギャツビー』の時代と重なる
東部と西部ではこんなに違ったとは言え、既にモンタナの町の中では
女性が自動車を運転していたり、ドレスの裾も短くなってきている
そんな、いわゆる一世代前の西部劇とは違う世界に住むフィル一家の物語
カンバーバッチ演じるフィルと弟の連れ子のピーターとの
距離の縮め方が見ていてハラハラさせられる
特に2人が煙草を吸い合うシーン、ピーターの誘うような目線に釘付けになった
フィルの秘密の場所でのシーンも美しいばかり
次第に深いところで交差するかに思わせた後でのあのラストは
怖いくらいの驚きだった
フィルは東部の大学に在籍していたという設定なのだが、
時代に背を向けているのに、実は西部の男達の世界には
本当には溶け込めていない、どちらにも真実の居場所がみつからない、
そんな人間に見えた
今時の西部劇はこんなに複雑な内容を含んでいると思える面白い作品だった
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