「パワフルパワフルパワフル 全開だカンナ」カラダ探し サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
パワフルパワフルパワフル 全開だカンナ
日本のホラー映画なんぞ、期待しない方がいいに決まってる!大体ハズレ、ワンパターン、怖くない、薄っぺらい。試写会に招待して頂けるのはありがたいのですが、、、ねぇ笑 つい最近「″それ″がいる森」というジャパニーズホラーの成れの果てみたいな映画見たせいで、より嫌いになったし。で、結果はというと、まさかまさかのアタリで、飽きず、そこそこ怖くて、ボリューミーなストーリー。いいじゃん!これこれ!これが見たかったんだよ!
ホラー映画は序盤が大事。
これが見たかったんたよ!とか言いながら、初っ端バッドポイントを挙げるのは作品に対してちょっと心が痛いんですけど、本作はそこが残念。序盤の引き込みが弱く、日本のホラーの悪い所が全面に出てきてしまっている。こりゃやっとれんわ!と思ったぐらい。こういう不気味演出、やめませんか?
ついでに言っちゃうと、ビビらせ演出が古典的で、反射的にビクッ!とはなっちゃうんだけど、やっぱり物足りない。邦画でめちゃくちゃ怖かった〜を期待するのは間違ってるのかも。やっぱりどれも同じ。いつか、斬新な演出が見れるのを期待せずに待っておこう笑
そんなわけで、序盤はどうも納得のいかない作りなのだけど、徐々に面白くなってかなりテンポも良くなっていくのがこの作品。ループものって、同じシーンを繰り返し繰り返し使って同じ日だということを訴えがちなのに対し、本作は同じ日がループされていることを重要な部分だけ切り取って、くどくない演出になっており、非常に見やすい。人間ドラマからのホラーの切り替えも違和感がないし、見ていて気持ちがいい。
人物像や心境の変化などの作り込みがしっかりしていて、青春映画として上出来。このストーリーだからこそ、説得力のあるテーマも設けられており、それがシンプルながらに心に響く。このまま、高校生の青春映画に転換しても普通に面白そう。ホラーかつループものであるために、各登場人物が格段と成長するのもまた見ものであります。
やっぱり、この若手俳優たちの演技が安定していて、身を任せて楽しめるってのがデカいのかも。橋本環奈はあと10年女子高生役出来るし、眞栄田郷敦は兄の新田真剣佑よりもカッコよくていい演技する。山本舞香は当て書きですか?ってぐらいハマっていて、横田真悠も良き雰囲気。醍醐虎太郎の「野球部に花束を」からの変化には驚きを隠せず、なにより神尾楓珠が大好き。HIGH & LOWからのギャップもたまりませんな。
この映画の1番賞賛したい部分は、パワフルさ。
アクションのド派手さ、鳴り響く音響、夜の学校に対するキャラクターの立ち向かい方。色んなパターンの殺し方があるのも見どころのひとつだし、Ado×椎名林檎というタッグがこの映画にピッタリで最高に良かったということも、声を大にして言いたい。全てにおいて力強く、爽快感と興奮度がそこら辺のホラーと段違い。ラストも良かったし、蛇足と思っちゃいがちのエンドロール後にも満足。いいもの見せてもらいました。
期待していなかったのに、面白かった。
これが、映画を見続けていて1番気持ちのいい瞬間です。橋本環奈×ホラーなんて、食い合わせ最悪だろ!と思っていたけれど、意外にもよく出来た作品でした。もう、清水崇監督とか中田秀夫監督なんかの過去の栄光に縋るばかりのホラー監督に任せるのはやめにしましょう。羽住英一郎監督、お見事!ちょっとばかしか、ジャパニーズホラーを見直しました。公開日は10月14日です。是非劇場でご覧下さい。