「飛行シーンのカタルシスがあった」ブルーサーマル 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
飛行シーンのカタルシスがあった
アニメで空を飛ぶ描写といえば宮崎駿で、しかも本作はテレコム・アニメーションフィルムが制作しているので縁がある。『カリオストロの城』などで知られる友永和秀などの重鎮も参加していた。原作者も航空部経験者らしいが、入部の決めてはグライダーを見て「メーヴェだ」と思ったからだとか。しかも、東映で配給なので、奇妙にいろいろつながっている。
本作は飛行シーンが一番の見せ場となる。グライダーを3Dモデルを参考に、すべて手描きで描いているのは素晴らしい選択だったと思う。空をはじめとする美術も美しく、飛行シーンのカタルシスは充分にあった。グライダーが空に置かれているだけじゃなく、きちんと浮遊感があって、飛んでいる描写ができていたように思う。
主人公をはじめキャラクターもたっていて、デフォルメ使い分ける芝居のチョイスもいいし、かなり見やすい作品だった。物語は後半やや駆け足に畳んだ印象だったが、飛行アニメとして満足感高い。意欲的な企画だと思うので、こういう挑戦がもっと増えてほしい。
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