「観客を惹きつけているのに、もったいない!」ブルーサーマル やまちょう07さんの映画レビュー(感想・評価)
観客を惹きつけているのに、もったいない!
航空部・・・そういえば私の卒業した大学もそれがありまして、入部説明を聞いたまでは良かったですが猛烈に高い部費(笑)に言及した途端、サラッと諦めてしまった苦い?経験がございます。
そんな私を含めてグライダーが競技としてかなり昔から成立し愛好者も全世界に沢山いらっしゃるという事実(たぶん)を、この映画で初めて知った方は沢山いらっしゃったのではないでしょうか。
そんなにわかにとっては、大変素晴らしい映像体験でした!
美しい空と雲、グライダーの細かな挙動と機体の軋み、計器の動き、それにシンクロしたキャラクターの動作、感情表現などなど・・・特に地上の背景は非常に細かく描き込まれていて感動いたしました。
もうこのフライトだけ30分くらい尺を取って追体験し、青空の中を上昇気流に乗ってゲロまみれになったって良い気分でしたよ(笑)。
ただ、競技については速さを競うのか、高さを競うのか、正確性が問われるのか、チームの独自の作戦はあるのかとか・・・そこらへんが初心者には非常に分かりづらく、なんでいきなり競技相手と交信すんの??など、ちょっと説明不足でポカンでした。
そして鑑賞者が皆、うまいことグライダー競技の魅力に引き込まれているのに、主人公の成長の経過があまり示されず、生まれながらの高い素質、鋭い感覚だけで上手くやってます、そしてできました!・・・えっなんで、みたいな印象になってしまったのはむしろマイナスでした。
シナリオに関しても、終始主人公の人柄の良さ、魅力に助けられる形でそこまで辻褄が合わないってことでもないですが、最後まで名前が分からない同級生などがモブキャラ化してしまったり、家族の話が唐突だったり、エピソードの繋げ方がちょっと雑かな、詰め込み過ぎかなという悪い印象を受けました。
扱った題材は凄く魅力的に表現できて観客を惹きつけているのに、なんともツメが甘くもったいない、というのが感想です。
では。