「ダークで美しいピノッキオ」ほんとうのピノッキオ bionさんの映画レビュー(感想・評価)
ダークで美しいピノッキオ
特殊メイクというのが信じられないくらいピノッキオの完成度が高い。木目はそのままで目と口が自然に動いているから、生命が宿った人形が目の前に存在しているように感じる。感情や欲求のまま行動してしまう幼い心が、そのまま表情に表れている点もリアリティを高めている。
ピノッキオだけでなく、カタツムリや妖精の衣装や美術セットも美しく、映像美だけでいうと満点。
物語は、大人も子供も楽しめるダークファンタジーとなっているが、思わず笑ってしまうシーンもある。カタツムリのヌルヌル粘液で棺を担いだブラックラビッツがつるりんとコケてしまうところがそうだし。カタツムリの朗読の速度を早めたり遅めたりするシーンは、よくできたコントのようで大声で笑ってしまう。
児童向け書籍の説教くさいピノキオしか記憶になかった自分にとって、本家の物語は人間くさくもあり、シニカルでもあり、ダークで美しく感じた。
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