劇場公開日 2021年10月29日

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「【キーは鍵(笑)】」BECKY ベッキー ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【キーは鍵(笑)】

2021年11月5日
iPhoneアプリから投稿

この作品のテーマのキーは鍵だ(笑)

上映後の(たぶん)YouTuberのトークショーでは、何も語られず残念だったけど、実は、想像力を働かせなくてはならないところがある。

トークショーで話してた凄惨さが独特とか、スプラッターのホームアローン版だなんて、誰もが思うことじゃないかと思う.....し…

鍵は何を象徴しているのか。

(以下、僕個人の印象でネタバレ気味)

押し入ってくる得体のしれない連中の一人の後頭部にハーケンクロイツのタトゥーがあることから、こいつらはネオナチだと想像される。

途中で、”人種は神が作りたもうた”云々という言葉もあることから、民族至上主義者が単にやっつけられるストーリーかと苦笑してしまう。映画の勧善懲悪ものも変化が余儀なくされ、やっつける対象は、ロシア人だとか、民族至上主義者だとか、殺られて当たり前みたいなところが前提になるのかと、やれやれと思うのだ。

だが、この作品の中で、重要と思われる、この連中と父親、鍵との関連は何も語られない。

鍵はいったい何を象徴しているのか。

ただ、この鍵を求めて凄惨な暴力が繰り広げられるのだ。

実は、僕は、この鍵が象徴するのは、端的に暴力を呼び覚ますもの、暴力を連鎖させるもののような気がしている。

ネオナチは民族至上主義だし、ネットの世界で繰り広げられるネット右翼の暴言も似たようなものだろう。

しかし、この鍵は、実は、きっかけはどうであれ、もっと幅広な、暴力を呼び覚ます執着心とか、復讐心とか、そういうものも指し示しているのではないかと思う。

しかし、最後にクエスチョンが投げかけられる。

自分を幾度なく救ってくれた男を撃ってしまう場面だ。

本当は、鍵は、特定の暴力のきっかけ象徴しているのではなく、人間の持つ暴力性というパンドラの箱を開けるものなのだ。だから、暴力とは程遠いと思われる少女の復讐を描いたのではないのだろうか。

結構、面白い作品だった。

ワンコ