「怖えな、ダイナ・ワシントン」リスペクト 鵜殿丈助さんの映画レビュー(感想・評価)
怖えな、ダイナ・ワシントン
コロムビアで泣かず飛ばずだったアレサが、ジェリー・ウェクスラーの勧めでマスルショールズに乗り込み、白人だらけのバンドと一緒に『アイ・ネヴァー・ラヴド・ア・マン』をブラッシュアップしていくシーンが、個人的にはこの映画の白眉だった。アレサの弾くピアノのフレーズを、スプーナー・オールダムがエレピでなぞっていくところなんて、観ててゾクゾクしたし、もっと録音秘話の場面があってもよかったかな。元夫のテッドは結果的にクソ野郎だったけど、アトランティックとわたりをつけた功績だけは評価してやるべきかもね。なぜマスルショールズ・リズムセクションになった途端に彼女の個性が一気に爆発したのか、内面的な理由とともにもう少し掘り下げてほしかった、というのが正直なところです。
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