「意図的に語られない辛い出来事」リスペクト せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)
意図的に語られない辛い出来事
幼い頃から歌が上手く、父親の教会での演説に同行し歌を歌い、さらにデビューを果たし成功を収めたアレサ・フランクリンの、その裏にある苦悩を描いた話。
彼女の人生を描く中で重大な出来事が飛ばされていて、後からサラッとその事実が明かされることがいくつかある。それはまだ幼い少女が性的虐待を受け、若くして妊娠出産したことや、旦那の直らなかったDVについて。
娘が酷い目にあったのに父親のあの態度まじでホラーだと思ったし、父親と旦那の印象が良い人悪い人コロコロ変わっていくのも本当に怖い。なぜこっちは男性の顔色を伺いながら生きなければいけない。1人目の旦那と離婚するまでの話がとにかく窮屈に感じるのは、言葉で強くは主張しないものの女性の叫びを代弁してるからなのかなって感じた。
そもそもこの記憶が途中飛んでいる状態って、性的被害や暴力を受けたことがある人の記憶って実際こうなのかなと思った。自分に都合の悪いことって意図的に自分の中で消すけどひょんな事で思い出されたりするもんね。
あとは、最近個人的に「ハンドメイズテイル」を見ていてキリスト教原理主義者のせいで、宗教に違和感しか無かった(日本人ってオウムがあったから基本的に宗教への不信感は強いと思っている)。
でも最終的に、「ここは教会だから守られてるよ」と牧師がアレサに言うように、宗教・教会の役割って本来はこういうことだよなと思わせてくれて良かった。神なんて信じてるからこんな過激派が生まれるんだって思ってたけど、本来はこうやって救われる人がいるためのキリスト教なのにな。
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