笑いのカイブツのレビュー・感想・評価
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突き進めー~迷惑だけど
病的に構ってちゃんかつコミュ障の主人公はお笑い一筋、仕舞にはせっかく入ったお笑い業界でも人間関係で浮きまくり辞めざる得ない結果にそれでも溢れるお笑いへの情熱は主人公の現実とは関係なく暴れ出す、関わる人は大抵逃げ出すけど少しの理解者さえいれば何とか成る事も、普通人に圧倒的に欠けて要るものに気付かされる。
目的地の前にある障壁は、理想と現実という名の絶壁だった
2024.1.9 イオンシネマ京都桂川
2023年の日本映画(116分、G)
原作はツチヤタカユキの自伝小説『笑いのカイブツ(文春文庫)』
伝説のハガキ職人の、笑いに取り憑かれた男の悲哀を描いたヒューマンドラマ
監督は瀧本憲吾
脚本は瀧本憲吾&足立紳&山口智之&成宏基
物語の舞台は、大阪の下町(ロケ地は大阪市都島区)
テレビ番組「デジタル大喜利」のレジェンドを目指してネタを投稿している構成作家志望のツチヤタカユキ(岡山天音)は、膨大な量の投稿を繰り返し、ようやくレジェンドの座を手に入れることになった
ツチヤはおかん(片岡礼子)と一緒に住んでいたが、おかんは男を取っ替え引っ替えしていて、生活が向上する気配はなかった
レジェンドとなったツチヤは、地元の劇場に向かい、その実績を「アッピール」するために劇場に向かった
そこではステージのリハが行われていて、支配人(お〜い久馬)はツチヤを面白いと感じ、作家の見習いとして抱えることになった
世話役には山本(前田旺志郎)が押し付けられたが、二人のソリが合うことはない
その後、ピン芸人のトカゲ(淡梨)の作家をすることになり、ネタもそこそこに受けるようになっていたが、ツチヤは自分の名前が一切出ないゴースト状態に嫌気を差して辞めてしまった
そして、フリーになったツチヤは、今度はラジオ番組のハガキ職人として、ベーコンズという人気漫才コンビの番組にネタを送りまくる
ベーコンズのツッコミでMCをしている西寺(仲野太賀)はツチヤの投稿を気に入り、ラジオを通じて「一緒にネタを考えよう」と呼びかける
物語は、一大決心をして上京するツチヤを描き、そこでラジオ番組の構成作家見習いとして働く様子が描かれていく
番組のディレクターの佐藤(管勇毅)はツチヤを良く思っておらず、仲裁に氏家(前原滉)という芸人兼構成作家が入ることが多くなる
西寺はツチヤを評価していたが、正規ルートではない扱いが毛嫌いされていた
また、ツチヤが社交的でなく、常識的な付き合いができないことも溝をさらに深めていく
そんな折、ホストのピンク(菅田将暉)に構ってもらえるようになったツチヤだったが、東京でもゴースト状態になっていて、また現場が「本気で笑わそうと思っていない」と感じるようになって、さらに体も壊してしまうのである
映画は、笑いに取り憑かれたツチヤの日常を描き、笑いを作るためにどのような人が関わっているのかを描いていく
お笑いの裏方が登場し、構成作家のネタを芸人が披露している部分も赤裸々に描いていく
そして、本作の命題は「クレジットされる意味」となっていて、ネタに命をかけたチチヤはそれを褒賞として求めてきた
だが、ゴーストは所詮ゴーストで、いつかその時が来ると言われても、ツチヤは納得できなかったのである
物語は、構成作家になる難しさを描いていて、お笑いに対するある姿勢というものを描いていく
スタンスが違うと言えばそれまでだが、これまでの経験値で抜くところは抜いている状況と、単に若手のモチベーションを利用しているだけの人もいる
ツチヤが出会ったのは後者の方になるのだが、それでも視野が狭くて、お笑いのリアルがわかるのかは何とも言えない
氏家のように立ち回りが上手い方が成功するのはお笑いに限ったものではないが、その世界に関わり続けることと、その世界で名を馳せたいかで目的地が違うのは仕方がないことなのかもしれません
いずれにせよ、そこまでお笑いに自信があるのなら、自分でネタを見せるパフォーマーになれば良かったのにと思うものの、それができない性格だったのかなと思う
受け手とすれば、面白かったネタに放送作家が入っているかどうかは、その瞬間には気にしないものなので、クレジットで構成作家の名前があってもわからないと思う
だが、作り手としてのこだわりがそこにあって、彼は名前を呼ばれて認知されることを承認欲求にしているので、この着地点になるのは仕方がないのかなと思った
西寺が彼のネタを演じて、彼の名前をクレジットに載せたのは良心だと思うが、実際の世界だったら氏家の名前になっていたんだろうなあと感じた
腹立だしくも切なくて愛おしい。観る側の評価を分かれる事をあえて組み込んだ事で完成する(ような)作品かと。
以前から気になっていた作品を鑑賞しました。
昨年末に鑑賞した作品のレビューがまだ書ききれてないけど、この作品のパンチが強すぎて、フライングで感想を書いてみましたw
で、感想はと言うと…面白い!
よくぞここまで振り切った!と言う感が強くて、こんな実在の人物が居るのかと言う驚きと多少の脚色があるにしてもフィクションに振り切ってないのなら尚更驚き。
好みが分かれると思うし、万人が楽しめる作品ではないけど、見応えがあり、映画好きの人にはハマるのでないかと。
社交術を身に付いてしまった大人の物差しで図る人には理解出来ない部分が多々あるけど、それを取っ払ってしまうと物凄く純粋で自身の価値観とルールで突っ走るツチヤを共感かつ羨ましく思えてしまう。
でも、汚れてしまった大人の自分にはツチヤの行動は不器用を通り越してワガママにも映るw
「有名になりたいです」と西寺の問いに答えながらもそれに納得出来ないツチヤの行動には“面白いと言うのが絶対の正義だから、それに従わない奴らがおかしい”的な部分も含んでいるようにもと思う。でも“単に有名になりたいのなら無冠の帝王の如く、アマチュアで凄い奴を目指せばいいやん。仕事として業界で有名になりたいと考えるなら周囲との連携があってこその仕事やん”と考えたりもする。
良い意味でツッコミどころの余白があり、その余白に各々の考える価値観が含まれて完成。
映画鑑賞後に観た人と“あ~だこ~だ”と喧々諤々に語れることがこの作品の意図と醍醐味でもあるんでは?と考えるとちょっと凄い作品。
また、そんなツチヤを演じる岡山天音さんがぴったり過ぎ。他にツチヤを演じられる人が見つからないくらいにハマリ役。この時点で作品の成功をハードルを1つ越えてます。
また、ピンク役の菅田将暉さんや西寺役の仲野太賀さんが良い感じなんですよね。
アウトロー的な生き方のツチヤに共感を感じつつも笑いにひたむきなツチヤに憧れを抱き、寄り添えるピンクは何処か観る側の代弁者でもあり、そんなツチヤとの奇妙な友情が良い。そんな菅田将暉さんの好演がキラリと光る。
また、ツチヤの才能を信じつつ、チャンスを与えながらも社会性の薄いツチヤを軌道修正しフォローをする西寺演じる仲野太賀さんがホント良いんですよね。不器用ながらもお笑いに愚鈍なまでのツチヤを可愛がり、そんな西寺にツチヤも心を開らこうとしていく。
こんな人に巡り合えたツチヤは幸せ者ですが、そんな西寺の恩義を感じるからこそ、それに報えないツチヤの葛藤が切ないんですよね。
居酒屋で酔っ払って思いの丈を吐いたツチヤに対して「地獄やな。その地獄で生きていけや」と言うピンクのセリフと駐車場で「お前、このままでは終わらないからな!」と叫ぶ西寺のセリフ。この2つは屈指の名シーン。
あとラストの片岡礼子さん演じるオカンの「1回、死んだんやったら無敵やん」は良いセリフ。
ラストでこの後の無敵になったツチヤに期待を寄せてしまい、そこはかとない光明を感じさせるのが良いんですよね。オカン…やるやんw
全体的にはツチヤの社交術の無さと周囲との軋轢に不一致にズシッとやり切れ無さがのし掛かるんですが結構ツッコミどころもあり、いろんなアルバイトを速攻でクビになってはいるけど、いろんなバイトの面接から採用にまでは行けているツチヤって、入り口の部分ではとりあえず社交性あるんやなとw
また、グダグダに酔っ払った際に地回りのお兄さんから「これで漫喫でも行けや」とお金を差し出されたら「…有難うございます…」と言うセリフで引き下がるのにはちょっと笑ってしまったw
あと、構成作家見習いで入った劇場での盗作疑惑や仲が良くなりかけたトカゲとのその後はフェードアウトなのはちょっと消化不良かな。
大阪に帰ったツチヤの実家に訪ねてくるトカゲのラストで締めって言うのは…ベタですよねw
深夜放送が全盛期にはハガキで投稿する事がちょっとしたブームになっていた時期がありましたが、ラジオは今や縮小傾向気味。2028年にはAM放送が終了してFM放送と統合される事を考えるとラジオ好きには切ない限り。
でも、ラジオと言うメディアは絶対無くならないと思うし、それを支えるリスナーが居るからこそ、次代の構成作家が育つとも考えます。
夢に不器用過ぎるくらい不器用で真っ直ぐで笑いの為なら周囲との摩擦も気にしないツチヤはある意味凄いけど、ここまでやるか…とも思えてしまう。
でも、そんなツチヤタカユキに腹立だしくもあり、切なく、愛おしくもあるんですよね。
「正直者が馬鹿を見る」のお笑いの正直者が馬鹿をとことん追求しまくって、馬鹿の先にあるピリオドの向こうをたどり着こうとする物語。
昨年末の「M-1グランプリ」で漫才指導をした「令和ロマン」が優勝したりしているのを考えるとなんか「持っている」感があるし、これ、2024年の日本アカデミー賞になんらかで絡むのでは?と思うし、絡んで欲しい。
そう思わせるだけのパワーがある作品です。お薦め!
予告を斜め見したせいで、主人公・ツチヤタカユキを窪田正孝さんが演じ...
予告を斜め見したせいで、主人公・ツチヤタカユキを窪田正孝さんが演じているかと観に行ったら短髪姿の岡山天音さんでした。似てますよね(似てない?)
才能ある若い芽を摘む業界的観かたをすれば昨年観た「愛にイナズマ」と重なるところもありますが、こちらはイナズマと比べれば若い芽どころか、そもそも種は良いが土に合ってなくて芽も出なかった印象。自身、人間関係不得手と示していますが、自分のネタで自分が芸人となって皆を笑わす事ができない以上、他者に世に出す部分は委ねていくしかない。チームで上手にコミュニケーションを取る必要もある。一方で自分のネタは自分を離れ、他者の物になっていく。そうした様々な葛藤に苦しんでいるのはわかりますが、口数も少なく、顔に表情も出ず(何考えているのだろう)が続きます。これは少し観ていて辛い。後半は友人に思いを吐露し、あきらめたネタ作りに再び動き出すシーンがありますが(今度こそ成功しそう)という予感を与えるには足りずで物語は終わってしまいました。
時代が2000年代後半の設定。YouTubeは既にあったので、それを見つけたところで終わったらなぁと思いました。YouTubeを上手く使えば葛藤も無く、才能も世に花開いたことでしょう。(映画のツチヤタカユキは、です。)
人間関係不得意
ツチヤタカユキ、幾度か聞いた事ある名前だが
こんなにお笑い至上主義で破天荒な人物だったとは。
大喜利5年、ハガキ職人3年、構成作家1年。
5秒に1回ボケる……。笑いに取り憑かれている。
共感はしにくいが、まるで夢を追いかけるバンドマン如く。
そんな社会性皆無の彼にも人が寄ってきて手を差し伸べる。怪しいピンクやトリマーを目指す女性。東京に来てからのベーコンズや構成作家達。基本の挨拶やお礼を教える若林さんは
優しいなぁ。かつての自分を見ているようだから人間らしくさせようと寄り添ってたのかもしれない。彼に伝えた『笑いを絶対辞めるな』は才能を見抜いていた本心と、過去の自分の経験を重ねた言葉だよね。
才能があるけど認められず『誰かの作った常識に
潰されなければならないのか』の発言は印象的。
居酒屋での泣きの嗚咽シーンは凄い演技。
彼らしい生き方に此方も感情移入してしまう。
最後の初めておかんが笑ってくれたシーンは私も嬉しかった。一回死んで最強になり、バンツ一丁で復活。
そこでしか生きられない人にしか宿らない魂があった。才能とはこの事で表裏一体。
正しく役柄が憑依し怪演だった岡山天音さん。不思議な熱量を感じる映画で秀作でした。
…年始早々ほんとに。(改)
挨拶もろくにできないコミュ症じゃないと100点の笑い職人になれない世界なんだとするなら俺は60点のやつのゆるいのでいいわ。一人で自分が正義と思うことだけを主張し、知らず知らず周りの人に甘えに甘え、まあ本人はいい人に見つけられて形になったから話になってるけど。片岡礼子様には罪はないが母親が甘やかせすぎたといわれても仕方がない。
役者として岡山天音が頑張っているのはわかるけど役どころが嫌すぎて菅田将暉や仲野太賀に見せ場を与えている。
ここから追記。ネタハガキという媒体を通じていたから大喜利やベーコンズに面白さを評価してもらえたのだが、学校や会社といった対面の交流をベースとした社会では奴の面白いものを書く能力や努力を惜しまない性分を見つけて生活の不器用さを飲み込んで付き合っていくのは困難だろう。ベーコンズが奴を認めるのは分かるし、自身にないものを持つ奇人としてピンクやミカコが奴を気にするのもわからなくは無い。星一個増やしとこ。
ただジョーカーなども含めてこの種の主人公が生理的に受け付けられず後半は特にキツかった。なぜこの題材を笑いに昇華して見せてくれず愚直に描いてしまったのか。ラストの再起動、キッカケが良くわからない。
更に追記 漫才指導で令和ロマンがクレジットされてた。
地獄で生きろ
今年の初映画はコレ!
天音ちゃん主演「笑いのカイブツ」
そして、ツチヤタカユキね(爆)
若様好きなので、勿論その名前は知っているのだけれど。。
もうこの人はさぁ。。
天才なのか?変人なのか?
紙一重過ぎて、凡人の私からしたら理解不能なお方なのですよ('◉⌓◉’)
それでもまぁ、彼の生み出す多くの言葉たちには何度も何度も笑わせてもらったのだけれど。
それがあれ程の狂気で「笑い」と向かい合い、追求していた姿を見せられ、正直ドン引きでした。
(いや、これは褒め言葉ですよ)
この作品は、
ツチヤ氏の精神的な弱さや
「人間関係不得意」な所を指摘し、否定しても、何の意味もないのだ!!
滝本監督の
「破壊なくして創造なし」ってコメントが心に響いたな。
ツチヤ氏の生き方はストイック
(って言葉も違う気もするのだが。。)過ぎて生き辛そうとは思う。
だけど、カイブツのまま、笑いと共に、地獄で生きるしか、生きる術が無いようにも思えるし、彼もそれを変えるつもりもないだろうし、変えられないだろう。
これからもカイブツの生み出す笑いを届けてほしい!
出来ればあの人と!(泣)
そして、、
天音ちゃんが素晴らし過ぎて震えた!!
作品のテイストはかなり違うが、パーフェクトデイズの役所さんを超える演技は当分観られないだろうと思っていたのに、まさか、こんなにすぐ更新されてしまうとは!!(当社比)
ん!待てよ!でも、役所さんも素晴らしかったしなぁ〜!!悩むわぁ〜!!って
悩む必要1ミリもないのに悩むわぁ。
いや〜腰抜けましたね!
天音ちゃん素晴らしま〜〜!!
万人受けはしないと思いますが、ワタクシ的には大満足な作品でした。
菅田君のピンクと、太賀君の西寺。
その演技力は安定感ありありで、
文句の付け所がないのですが、、
主演の天音ちゃんよりもメジャーな為、
やや、、やや、、違和感がありました。
いや、天音ちゃんはもうダントツで素晴らしかったし、しっかり主役でツチヤそのものだったのですが。。
お二人のお顔がメジャー過ぎて、
やや、、やや、、
Ya-Ya-yah٩( ᐛ )و
でもどっちもいい奴で
嬉しかったです(雑かっ!Σ('◉⌓◉’)
お母さん役の片岡礼子さんも良きでした。
そして、あまりフォーカスされていませんでしたが、水木(板橋君)の仕上がりもお見事でした♪
そうだ!入場特典で天音ちゃんのメッセージ付きポストカード貰えたよ。
「この度は笑いのカイブツを観に来てくださりありがとうございます。
どこにも反響しない声をあげていた日々が報われます。
滝本監督の巻き起こした渦を、どうか思うがままに堪能していただきたいです。」
天音ちゃん!とっても良かったよ!
なんか泣ける〜( ; ; )
今年の映画生活も楽しみです。
みなさん今年も宜しくお願いします♪
カタルシスないが名演
岡山天音、菅田将暉、片岡礼子、皆さん好演。カタルシスはないが天才も大変だと思いながら鑑賞した。業界のことも垣間見えて興味深かった。
全体的に説明不足
本編は、主人公が既に大喜利職人として活動しているところから始まるのですが、彼の生い立ちや笑いへ異常な執着を見せる理由などの説明がなく、その辺の掘り下げがあると見やすいのではないかと感じました。
ほかの登場人物では、松本穂香演じるミカコとは主人公との発展を期待させられながら、結局何も進展がなく主人公が上京し、再会した時には彼氏ができたと言う始末で、恋愛要素が欲しいとしたらあまりにも描き方が雑に感じました。
菅田将暉演じるピンクとも、体験入店したホストクラブで先輩ホストとして出会い、なんやかんやあって彼に仕事の斡旋もしてもらうのですが、帰阪し再会した際にはなぜかホストをやめて居酒屋で働いていました。その辺りの描写ももう少し欲しかったなと感じました。
また、上京して紆余曲折あり、心身ともに打ちのめされて大阪に帰ってきた主人公が、ピンクが働いている居酒屋で、他人と自身の評価のギャップと自身が抱える苦悩や葛藤で号泣しながら吐き出すシーンが盛り上がりの頂点で、その後は尻すぼみな印象が拭えませんでした。
総評して、原作をしっかり読んだ人か業界人向けの映画なのかなと感じました。映画から見る人には圧倒的に説明不足です。
しかしながら、俳優たちの演技は素晴らしく、特に岡山天音の鬼気迫る演技は圧巻です。彼らの素晴らしい演技だけでも見る価値はあると思います。
ですが、演技抜きにしたらイマイチな映画だと感じました。
カイブツ、と自分で言うのか。
ツチヤタカユキなら言ってもいいか、と言う感想。2024年一発目に濃いのを引き当ててしまった…
世間に潰されているのに、自分を生き延びさせる唯一の方法のその世間を“笑わせる”ことと言う皮肉。こんなにも生きにくい人がいるのかと不器用な弟を見ている気持ちだった。一度死んだ、という表現も彼が不器用すぎる社会不適合者感が出ていて良かった。年末に華麗に優勝を飾った令和ロマンが漫才指導というのも憎い演出。ある意味対極にいるような、器用で面白い彼らはツチヤタカユキの生き方にどんな感想を抱くんだろう。彼らも、同じように笑いの難しさに壁に頭をぶつけるような日々があるのだろうか。ただ、人には愛される人たちだと思うのでその点が違う。ある程度、社会に受け入れられるにはツチヤタカユキのいうところの人間関係の得意さが必要だろうと私も日々思う。
それにしても若い!25.6の人間があんなにさまざまな大人たちに認められてチャンスを与えられているのに嫉妬さえ覚えた。
主演の天音さん、怪演だった。居酒屋のシーンは特に引いてしまった(賞賛の意味で)。
あとこの映画では「思いがけず菅田将暉」現象を体験。予告なしで菅田将暉を映画やドラマで見てしまう現象を呼んでいるんだけど、出演するだけで彼の名前がトップに出てきたりするものだから最近はあまり体験できない。レアな体験。ブロッケン現象のような感覚。今回は思いつきで見た映画だったから体験できた。心づもりなしで菅田将暉を浴びるとびっくりする。男前なのに演技も上手い。クズ役もぴたりとはまる。腰が細くて良かった。
「笑」。
笑いが全てツチヤタカユキの話。
バラエティー番組にネタ投稿を生き甲斐にし、ネタ作り6年の頃、その間に書き溜めたネタを事務所関係者に渡した事で作家見習いから始まる事に…。
面白かったです!私、こういう徹底して物事打ち込める熱い人間大好きですね!
不器用、ちゃんと目を見れない、コミュニケーション取れないのが、この人にとって残念、勿体無いって言葉があってるのかな?!また、そこがクリア出来てれば開花するのがもっと早かったのかと思う。
違ってたらすみませんですが私の記憶だと岡山天音さん初の主演!?
この俳優さん色々出てるけど、数年前の月10ドラマ広瀬アリスさん主演の男女三組の恋愛ドラマから何か味ある俳優さんって感じで好きなんですよね~あと、雰囲気も。
あと岡山天音さん演じるツチヤタカユキさんのネタ作りに取り込む姿勢はリアルの自分を見てるようで少し笑ってしまった。私も1秒も無駄にしたくないって考えで仕事をしてるのでその辺がリンクしたかな(笑)
菅田将暉君演じたピンクと仲野太賀演じた西寺いい奴だったな~
面白くていい時間でした。
近くで見たら悲劇、遠くからみたら喜劇
誰でもそうだと思いますが、他人から見たら笑える話も本人からしたら笑えない話しがある。
本人が本気だから他人は余計に笑えてくる。
本気って一周して笑える。変に捉えてほしくないですが人間って一般の人からしたら狂ってる方が面白いし、自我がある方が面白い。
でもそんな本気になれる人達が羨ましい。
自分はピンク側の人間なのでそれが凄く羨ましかった。しかし本人は幸せもあるだろうが、もちろんそれ以上の地獄もあるだろう。当たり前だが夢なんって簡単に叶わないし、才能があったからと言って成功するわけでもないし、好きだからと言ってうまく行くわけでもない。それでも好きで前に進んでいる人間には魅力がある。
そんなツチヤが私は大好きになった。他人に嫌われても良いじゃないか、逃げても良いじゃないか、馬鹿にされても良いじゃないか。好きに勝るものなんてないのだから。
そんなツチヤを遠くから見ていたら笑えてきた。泣き笑いだ。凄く良い喜劇でした。
演者の方も皆さん良くてとても良い喜劇を見れました。
人間なんていつか死ぬ。一度自分を殺してまたやり直せばいい。情熱や好きは死なないのだから。
帰り際ミナミのツチヤも歩いたであろう御堂筋や引っ掛け橋などを歩いて帰ったがツチヤはいませんでした。
【笑いの道は地獄道。笑いに憑りつかれた男は、笑顔を見せず必死にネタを考える。”主人公を演じた岡山天音の怪演に驚き、脇を固める菅田将暉と仲野太賀の優しさ溢れる演技に救われた気持ちになる作品。】
ー ご存じの通り、今作は「伝説のハガキ職人」と呼ばれたツチヤタカユキの私小説を映画化したモノである。-
◆感想
・今作を観ると、お笑い芸人と呼ばれるトップクラスの人たちの凄さが少しだけ分かる気がする。
■ツチヤタカユキ(岡山天音)は、TVの大喜利でレジェンドの称号を勝ち取りながら、笑顔は一切ない。そして、彼は構成作家として人気芸人コンビ、ベーコンズの西寺(仲野太賀)に気に入られながらも、人間関係が不得意なツチヤは、お笑い関係者から徐々に疎まれて行く。
- 彼が西寺にメールで送った【人間関係不得意】と言う言葉。-
・という過程を岡山天音が、観ていてキツイ気持ちになる位、怪演している。中盤から、劇中でも言われているが、鬱の様子であったり、酒を呑んで荒れたり・・。
彼の唯一の心の拠り所はモールのハンバーガー店の売り子であったミカコ(松本穂香)である。
- 彼は中卒のミカコに自分と似たモノを感じたのかな。ミカコは彼の身体の具合を気遣っているしね。-
・血尿や血便が出るまで、バイトをしながらネタを書くツチヤタカユキの姿は、正にカイブツである。但し、”哀れなる”という言葉が付くが・・。
・今作で、ツチヤタカユキを支えるのは、ミカコ意外には、ベーコンズの西寺であり、ムショから出たばかりのピンク(菅田将暉)である。
ー 仲野太賀と、菅田将暉の確かなる人情味ある演技が、岡山天音の怪演と相まって、観ていて救われる。ー
■ツチヤタカユキがベーコンズの新年ライブを見に行くシーン。ベーコンズの掛け合い漫才も面白かったが、ライブが終わった後に流れたエンドロールに記されていた”構成 ツチヤタカユキ”と書かれた言葉をチラッと見た時のツチヤタカユキの表情は沁みたなあ。
<今作を観ると、お笑いの世界って笑いのセンスだけではなく、人間関係も大切なんだな、と思ってしまったな。
ラストも良かったな。橋から川の中に飛び降りたツチヤタカユキは、母(片岡礼子)が住むボロッチィマンションに”俺は死んだ。”と言って帰って来る。
だが、彼は且つて5秒に一度ネタを書いていた床に座り、ネタが出ないと頭を叩きつけていた壁を足で突き破り、初めて笑顔を見せて再びネタ作りに没頭するのである。
今作は、笑いに憑りつかれるという事は恐ろしく過酷でありながら、凄いモノである、と思った作品である。>
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