笑いのカイブツのレビュー・感想・評価
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「自分を貫く」事はかくも不快で苛立たしい
レビューは賛否両論だろう。
あそこまで多くの大人が気にかけてチャンスをくれたのに、全て台無しにしてしまう様に不快さを覚えた人も多いと思う。
だが、あれこそ「自分を貫く」って事なんだろうな
今までの映画ドラマで、「自分を貫く事」はあまりにもサクセスストーリー化されてきている。
特に芸人を題材としたコンテンツではとても多い。
その意味で、「自分を貫く事」の不快さという本来の現実をまざまざと見せられた点は個人的には興味深かった。
個人的には、今やファッション化されつつある、「陰キャネガティヴ芸人」への強烈なカウンターだったように思える。
大人に従って自分を曲げて嫌われないように生きて、それで世を恨んでネガティヴなの?って
大阪時代に、同じく「自分を貫いている」と思っていた、ピンクや女の子も黒髪になり、社会に馴染んで、自分だけがまだカイブツのままである所は本当に辛かった。
原作はずっと砂嵐のように感情を書き殴っている本だが、映像となると感情を全て描くわけにもいかないので、最初は不気味で物静かで、でも絶対気狂ってる奴を演じる天音くんが凄かった
ただその分、感情が爆発した時のコントラストはとても良かったね
ツチヤの人間性や根性について不快感を覚える人は多いが、ツチヤのしてきた努力に文句を言う人は誰もいないだろう。
全ての人の思いを台無しにして、不快に思われて嫌われて、でも彼の努力と才能はどうにもこうにも否定できない。
多分、それが自分を貫くってことなんだろう。
どうなのかな。
主人公、ツチヤタカユキ。
人に笑ってもらいたいのなら、社会の中にいなければならない。
社会の中にいるためには、ある程度入る「所作」は必要だろう。
現実とどれくらいリンクしているか、わからないが。
主人公の行動はわからない部分がある。
自分の創作が、他人名義にならなければ表に出て行かないのは許せないだろう。
でも他の部分では理解できないところ多し。
岡山天音は熱演。
松本穂香は、あのちゃんに見えてしかたなかった。(笑)
しかしこの映画、合わない人もいるようで、途中で出ていく人をみた。
岡山天音の怪演が凄まじい
初日舞台挨拶にて鑑賞。最高の映画館初めになりました!
一時期狂ったようにオードリーのANNを聴いていましたが、その時に何度か、いや何度も耳にした「ツチヤタカユキ」という名前。その伝説のハガキ職人が構成作家を志し、東京の街で奮闘し、苦悩していくというストーリー。
ツチヤは自らの「好き」を貫き、真っ直ぐただひたすらに笑いを追い求めるが、社会に上手く馴染めず、嫌な人間関係ややりたくもない仕事から逃げ続ける。それでも彼を面白いと思い、社会性云々を取り除いてお笑いの才能を評価してくれる人間がいる…。私も数年ほど前、だいぶ精神的に参っており、その時はやりたいことに没頭し、それだけに明け暮れていた時期に、そんな私の生き様を肯定してくれた人がいて、とても救われた経験があったため、ツチヤを自分と重ねてしまい、劇中での西寺やピンクの言葉は深く胸に突き刺さりました。
ただ、ツチヤはそんな差し伸べられた手も全て突っぱねて、自身の運命と葛藤していく。本作ではそんな彼の生き様を肯定も否定もしていない。自らの「好き」を信じ、ひたむきに夢に向かって進み続ける人達にとっての活力になればいい。そんなメッセージに感じました。
本作の主人公ツチヤタカユキを演じた岡山天音さん、本当にすごかったです、冗談抜きでマジで。ツチヤが"笑いのカイブツ"ならば、岡山さんは間違いなく"演技のカイブツ"でしょう。舞台挨拶でも自身を憑依型俳優と仰っていましたが(半ば冗談で)、本当にツチヤタカユキとして生を受けたとしか思えない、笑いに貪欲な様を演じる姿には、鳥肌が止まりませんでした。
熱量は伝わった
周りに甘やかしてくれる人がこんだけいるの羨ましい〜っていうのと、この原作者のことはラジオリスナーとしては有名なので知っているのだけど、原作は読んでないので、今回の映画化や原作自体を「オレ、かっけぇ〜!」って感じで思っておられるなら何も変わってないなと。変わらないことも良いのかもしれないけど、やっぱり周りの人に恵まれていると思います。
自ら追い込んでストイックにネタを作り続ける様を演じ切った岡山天音の好演がとにかく光る。嘔吐するときの表情、ネタをパクられたという指摘に愕然とする表情、やるせない居酒屋での表情、どれも熱量があって良かったです。
実質オードリー若林役の仲野太賀は安定してよかったけど、サトミツ役の人も良かったなあ。
ラジオリスナーを笑う対象として消費していた時がパーソナリティーとしては適切な距離感で、実際に作家として雇ってみると…これは若林さん(あえて言います)の胆力がないとね。
要は、社会性・コミュニケーション能力が本当に最低限でいいからないと、どんな才能も努力も目を瞑られることを暗に示している。こういう『生きづらさ』を提示する映画は増えたように思うけど、ここまでその生きづらさと向き合わない主人公はね…不快感があるということはそれだけ演者がうまいとも言えるわけだけど、じゃあラストシーンへの心情変化に至った理由は?とは思います。原作なりインタビュー読んだら分かるんでしょう。
あと、実話ベースだと思うので仕方ないとはいえ、松本穂香の使い方が完全に『漫才ギャング』からアップデートされてないとは思ったかな。でもこういう役柄は新鮮で良かったです。
最後のネタは令和ロマンが監修したんだろうなというのはよく分かりました。哲学的なセリフで締めるのは2023のM-1トップバッターらしい。ケータイ大喜利をキム兄と藤井隆がやってるのは笑いました。
音楽がややうるさかったかな。
あの夜の、答え合わせ
あの日、あのラジオで
ツチヤタカユキが地元に帰る事になったと、若林さんが伝えた日
リスナーから届いた、励ましの様なメールを読まれたあと
若林さんが歯痒い様子で
『あいつの悩みとか聞いてますから、勝手なこと言われると、
それは違いますよと言ってかなきゃいけない部分もある。
まあ両面ありますよ…人間っていうのは…。』
と言われた事を、メールとの強烈な温度差と共に強く覚えていました。
原作もずいぶん前に読んだきりだったし
東京に行ってからのエピソードがどこまで本当のことか解らないけれど
当時のツチヤ青年の目から見ると、この映画に似た何かを経験したのでしょう。
10年越しに、あの空々しいメールへの答えに、近づいた気がします。
パンフレットにランジャタイの伊藤さんが寄稿されていて
映画をご覧になり、ツチヤさんのことが好きだと書かれていました。
私は、原作を読み終えたとき感じた事と同様で
ツチヤタカユキ個人が好きだとは到底言えません。ですが、この映画は好きです。
それと、うんこに出囃子があることを教えてくれたあなたのこと
ずっと覚えています。
完全に余談ですが「だが、情熱はある」も、このくらいの温度感、現実感
人間への解像度で作って欲しかった…。
私にとってあのドラマは、あの日の歯が浮くような空々しいメールであり
この映画が、あの日の歯痒さを噛み殺した若林さんです。
岡山天音の演技が圧巻
私はよしもとのお笑いに関してはわからない。にもかかわらずこの作品は
良かった。岡山天音の演技が素晴らしかった。むしろ怪演か。
岡山天音は脇役のイメージが強かったが、主役でも遜色が全くない。
また、菅田将暉が出演し、ストーリーの鍵を握るシーンに登場し彼らしい
素晴らしい演技を見せてくれた。
岡山天音と菅田将暉の出演がこの映画を見応えある作品にしたのは評価したい。
お笑い好き、お笑い作家に関心がある人にはいいが、お笑いに興味がない人には
辛い作品。
それをカバーしたのが、岡山と菅田の演技といえる。
中途半端なストーリー展開で期待ハズレ
岡山天音さんの熱演が素晴らしく印象的
その他、仲野太賀さん、菅将暉さん、松本穂香さんも頑張ってて良い演技してたと思います
以上、というぐらい正直つまらなかった
設定はすごく面白そうなのに全く生かせておらず中途半端、観終わった後「で、何?」というのが第一印象
本作の原作者でもある、岡山さん演じる主人公ツチヤタカユキの自伝的作品なので、そうそうドラマチックなわけもないんでしょうが、退屈ですごく長く感じました
このストーリーラインならツチヤをもっと狂気なまでに振り切った鬼気迫る男にし、極度なコミュ障の男が常識をぶっ壊してお笑い界を席捲していく荒唐無稽な話か、もしくは徹底的にツチヤのキャラクターの深堀りをするか、テーマを絞り込んだ方が良かった気がします
病気に近いレベルの過度なコミュ障の男が何故あそこまで笑いのネタづくりに取り憑かれていったのか?しかも本当に内容が面白かったのか疑問な描かれ方だったのも微妙
自分の悪さを反省し改善したいと言うシーンもあるものの、コミュ障を克服し、良くしてくれている人達とうまくやっていこうとしているとも思えず、酒に溺れていくのも見苦しく、この先も同じことの繰り返しと思わせるエンディングも救いのなさを感じ、終始 何ともイマイチな気分になったまま、後味の悪い作品でした
憑依していたような演技
試写会に当選して拝見。
原作を読んでなかったのですが、観始めてすぐにオードリーのオールナイトニッポンの常連投稿の彼か、と気づきました。
仲野太賀の若林ぶりが酷似し過ぎですごかったです。
(作中は「オードリー」ではなく、「ベーコンズ」という架空の漫才コンビですけど)
前半のただ面白いことを書きたい主人公の姿は、おそらくはASD(自閉スペクトラム症)による過集中ではないかと思わせるものではないかと。
礼節やコミュニケーション力が、イコール営業力であるのは事実で、それも脚本・構成作家にとっては重要な能力であるので、挨拶一つできない主人公には共感できなかったけれど。
後半、師匠・先輩の名を使わないとデビューできない業界の理不尽さに、正面から「こんなのは嫌だ」と言い切って、故郷大阪で旧友を前に号泣する姿は、かなり胸に突き刺さりました。
このような業界の慣例は、やる気や才能を搾取する悪習なのだなと思わせてくれました。
主人公をとらえるレンズの画角や距離が、その心情を克明に描き出していて、怖いくらいにリアルさを感じました。
岡山天音くんの演技も、憑依していたと感じるレベルで、すさまじかった。
この迫力は、多くの人に実際にスクリーンで確かめてもらいたいと思わせるほどのものでした。
上映後の監督の舞台挨拶によれば、ツチヤ氏について以前NHKの番組で放送されたドキュメンタリーがあるらしく、それと比較したくなりました。
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