「すべてのジャンルはマニアが潰す」笑いのカイブツ TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
すべてのジャンルはマニアが潰す
「すべてのジャンルはマニアが潰す」これはブシロードの木谷高明会長が2012年に新日本プロレスを買収したときに言った言葉です。
私自身も年間100本以上劇場で映画を観る習慣は、(自分ではそう思っていなくても)周りからは恐らく「マニア」認定されていると思います。そして、興行成績や一部の賞レースにおいて評価される作品が自分と違ったりすると、基本的には無視の態度を取りつつも、正直にはそれらを「否定」していることを自負しています。また、不意に「今おすすめの映画ありますか?」と質問を受け、いきなり本命を答えずに当たり障りのないところから探りを入れたり、あまり相手のことを知らない場合は「行くならどの辺の映画館ですか?」と結構面倒くさい逆質問をしたり。。
時代を経るごとに、「カルチャー」はいわゆる王道から徐々に細分化が始まります。そして、プラットフォームが増えてコンテンツを選び放題、享受しやすい環境ができると気づいた時に残っているのは「マニア」の比率が高くなり、「そうでない人」には入りにくい環境になっていることがあります。「お笑い」というカルチャーにしてもそれは同様で、テレビのバラエティー番組や主に暮れに開催される賞レースは観ても、わざわざ劇場やライブに出向いたり、ましてやラジオというコンテンツまで追いかける人は案外多くないのではないでしょうか。さらには、最近のYouTubeやPodcastなどの配信コンテンツまで拡がりを見せると、もはやカルチャー同士が時間を奪い合って結局はまた蛸壺化していきます。
ちなみに、私はすっかり「お笑い」観なくなりましたね。それでも昔からラジオは好きだったので、いくつかの番組については今も聴いています。それこそ、radikoのタイムフリーは便利で助かっています。ただ、時代的にツチヤタカユキという「ハガキ職人」は存じ上げなかったのですが、そもそもこの「ハガキ職人」や「構成作家」と言われる人たちの存在を知り興味を持ったのは私にとって、とんねるずの『二酸化マンガンクラブ(文化放送)』や『オールナイトニッポン(ニッポン放送)』がきっかけです。なので、時代こそ違えどこの作品の世界観について解るような気はします。そしてツチヤタカユキという人に対しても、違和感という感じはありません。が、勿論お近づきにはなりたくありません。そして、なるほどこの感触こそ「すべてのジャンルはマニアが潰す」につながるのかもしれない、と思いながら観ていました。
ツチヤを演じる岡山天音さん、見事に「カイブツ」を演じておりこれぞ「怪演」と言えますね。一部聞こえづらいセリフもありますが、それこツチヤという人のキャラクターなのでしょう。そして滝本憲吾監督、フリーの助監督として下積み長く多くのヒット作品に関わってきた実績もありキャスティングが豪華、且つ要所要所。当然、キャストの方皆さん素晴らしい演技で応えています。中でも菅田将暉さん、そして片岡礼子さんの存在感は抜群ですね。
さて、ここまで肯定しておきながらも私の評価は「まぁまぁ」かな。ストーリーそのものは私にとってそれほど興味をひくものがなく。ただ、これを普段それほど映画を観ない方に言われると若干嫌な気持ちになるんだな。たぶんそれがお笑いファンの方からであっても、本作はあくまで映画だし。と、この辺もおそらくはマニアやファンの面倒くさいところですね。すいません。。
ゆきさん、大変ありがとうございます。
私のレビュー、最近はことに純粋な評価よりコラムみたいになっちゃっていますが、、、まぁ、へたくそなりに時間もかかっており、読んでいただけるのはうれしいです。
また頑張って書きますので、よろしくお願いします。
こんばんは。
初めてコメントさせていただきます。
TWDeraさんのレビュー、大変興味深く、ふむふむ!なるほど!と首がもげるほど頷きまくりました!私には出てこない視点からの素晴らしいレビュー。拝読出来て良かったです。ありがとうございます。