劇場公開日 2024年1月5日

  • 予告編を見る

「お前、ぜってぇここで終わんねぇからな!!」笑いのカイブツ サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5お前、ぜってぇここで終わんねぇからな!!

2024年1月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

興奮

M-1の2018~2023年大会をイッキ見したり、公式YouTubeチャンネルに上がっている漫才を見まくったりと、お笑いに費やした今回の年末年始。ツチヤタカユキに関しては、オードリーのオールナイトニッポンで「ツチヤが大阪に帰った」と若林が話していたのを聞いたことがあるくらいで、全く知らない。なのに、予告にめちゃくちゃ惹かれて、尚且つ個人的にお笑いブームが来ていることもあって、初週にして1月公開映画の1番の目玉だと思っていました。

その期待は一切裏切られず、寧ろ期待より何倍も何十倍も素晴らしい作品でした。2024年、まだ始まったばかりなのに、こんなにもいい映画が見れるなんて。本作の主人公・ツチヤタカユキの自伝本は読んだことないけど、この映画で彼の壮絶な人生が直に伝わってきたし、恐らくものすごい完成度。監督自身も相当なお笑い野郎なんだろうなと。

それもそのはず。2023年のM-1王者に輝いた令和ロマンが漫才監修を担当。まだ優勝する前にこの映画は制作されていた訳だから、無論その段階で認められていた令和ロマンも凄いが、ちゃんとこの2人に声をかけ、しかも作品の肝となる部分を任せるなんて、それだけで制作陣がこの映画に描ける強い思いが見て取れる。THE SECONDで優勝したギャロップも演者として参加。生半可にお笑い映画作ってるんじゃねぇぞ。そう言っているような気がした。

本作で語らずには通れないのは、岡山天音の怪演。
その姿はまさに、"笑いのカイブツ"そのものであり、キャリア史上最高と評される時に使われる文言、演技を超えた役の憑依だった。魂を笑いに授けた男をこれまでかととことん熱演。ここまで来ると怖い。今1番日本映画界を牽引し、必要とされている俳優は岡山天音と言っても全く過言では無いだろう。そんな彼氏の脇を固める実力派俳優陣も見もの。菅田将暉、松本穂香の強烈なインパクトも最高だが、仲野太賀演じる西寺(元はオードリー若林)は岡山天音に負けじと凄まじい。ラストのあのセリフは思い出しただけでも鳥肌が立つ。

笑いを求め、笑いに取り憑かれた男・ツチヤタカユキ。つまらん情報番組の誘いやら、上司の顔色と金儲けだけを考えるスタッフに呑まれず、オモロいだけが正義だと信じ、生きてきた。ただ、笑わせたいだけなのに。随所に挟まれる大喜利だけで彼の才能は見えてくる。周りに合わせることは自分を殺すこと。でも、周りに合わさないと自分は殺される。生きずらい世の中で苦しみ、もがき、嗚咽し、人間関係不得意が為に壮絶な人生を送ってしまったその姿は、どうも他人事に思えず、胸がぐちゃぐちゃになった。

サプライズ
大吉さんのコメント
2024年1月26日

オードリーの若林だったんですね。腑に落ちました。
もう一度観に行こうかな。

大吉
グレシャムの法則さんのコメント
2024年1月11日

原作を読みました。
笑いに狂ったカイブツがとても凄まじい努力をしていたことが分かりました。
一日2000個のネタ(ボケ)を書くなんて尋常ではないですね。
仕事中も浮かんだそばからノートに書き込む。そりゃあ、バイトも首になるはずです😩

グレシャムの法則
グレシャムの法則さんのコメント
2024年1月9日

ゆきさんとは逆に、何も分からずに(たぶん一部の方を怒らせるような)レビューしてる私にまでご共感いただき、なんだか申し訳なくて…

グレシャムの法則
ゆきさんのコメント
2024年1月8日

こんにちは。
サプライズさんの熱いレビューを拝見し
この作品と天音ちゃんファンの私からしたらとても嬉しく胸アツです!

ゆき