「熱量は伝わった」笑いのカイブツ わたろーさんの映画レビュー(感想・評価)
熱量は伝わった
周りに甘やかしてくれる人がこんだけいるの羨ましい〜っていうのと、この原作者のことはラジオリスナーとしては有名なので知っているのだけど、原作は読んでないので、今回の映画化や原作自体を「オレ、かっけぇ〜!」って感じで思っておられるなら何も変わってないなと。変わらないことも良いのかもしれないけど、やっぱり周りの人に恵まれていると思います。
自ら追い込んでストイックにネタを作り続ける様を演じ切った岡山天音の好演がとにかく光る。嘔吐するときの表情、ネタをパクられたという指摘に愕然とする表情、やるせない居酒屋での表情、どれも熱量があって良かったです。
実質オードリー若林役の仲野太賀は安定してよかったけど、サトミツ役の人も良かったなあ。
ラジオリスナーを笑う対象として消費していた時がパーソナリティーとしては適切な距離感で、実際に作家として雇ってみると…これは若林さん(あえて言います)の胆力がないとね。
要は、社会性・コミュニケーション能力が本当に最低限でいいからないと、どんな才能も努力も目を瞑られることを暗に示している。こういう『生きづらさ』を提示する映画は増えたように思うけど、ここまでその生きづらさと向き合わない主人公はね…不快感があるということはそれだけ演者がうまいとも言えるわけだけど、じゃあラストシーンへの心情変化に至った理由は?とは思います。原作なりインタビュー読んだら分かるんでしょう。
あと、実話ベースだと思うので仕方ないとはいえ、松本穂香の使い方が完全に『漫才ギャング』からアップデートされてないとは思ったかな。でもこういう役柄は新鮮で良かったです。
最後のネタは令和ロマンが監修したんだろうなというのはよく分かりました。哲学的なセリフで締めるのは2023のM-1トップバッターらしい。ケータイ大喜利をキム兄と藤井隆がやってるのは笑いました。
音楽がややうるさかったかな。