「憑依していたような演技」笑いのカイブツ コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
憑依していたような演技
試写会に当選して拝見。
原作を読んでなかったのですが、観始めてすぐにオードリーのオールナイトニッポンの常連投稿の彼か、と気づきました。
仲野太賀の若林ぶりが酷似し過ぎですごかったです。
(作中は「オードリー」ではなく、「ベーコンズ」という架空の漫才コンビですけど)
前半のただ面白いことを書きたい主人公の姿は、おそらくはASD(自閉スペクトラム症)による過集中ではないかと思わせるものではないかと。
礼節やコミュニケーション力が、イコール営業力であるのは事実で、それも脚本・構成作家にとっては重要な能力であるので、挨拶一つできない主人公には共感できなかったけれど。
後半、師匠・先輩の名を使わないとデビューできない業界の理不尽さに、正面から「こんなのは嫌だ」と言い切って、故郷大阪で旧友を前に号泣する姿は、かなり胸に突き刺さりました。
このような業界の慣例は、やる気や才能を搾取する悪習なのだなと思わせてくれました。
主人公をとらえるレンズの画角や距離が、その心情を克明に描き出していて、怖いくらいにリアルさを感じました。
岡山天音くんの演技も、憑依していたと感じるレベルで、すさまじかった。
この迫力は、多くの人に実際にスクリーンで確かめてもらいたいと思わせるほどのものでした。
上映後の監督の舞台挨拶によれば、ツチヤ氏について以前NHKの番組で放送されたドキュメンタリーがあるらしく、それと比較したくなりました。
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