「物語の不在」ワンス・アポン・ア・タイム・イン・上海 消々さんの映画レビュー(感想・評価)
物語の不在
第二次世界大戦頃の上海を舞台に、パン屋の"賢い"下男の噂話から始まる。なんの脈絡もないその始まり通り、脈絡がずっと見つからなかった。
マフィアのルー、その義弟ワタベ、そしてマフィアの会長の妻を中心に話が進むが、時系列が分断され、さらに彼らの行動の意図や背景、考えや感情を想像する手がかりすらなく、ただ出来事を見ている、という感じだった。監督が見た「マフィア」「日本人」「女」のステレオタイプを凝縮したような人物。時系列もバラバラで、伏線回収やつながりが見えづらく、散発的に誰かが殺されたり犯されたり。確かに鑑賞者(私)が、感情や出来事の背景を考察したがる性格だということはあるにしても、脈絡がわからない。理解に困ってしまった。
人の不在というか、物語の不在。
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