「祈り」スティルウォーター Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
祈り
寡黙で愚直な男をマットデイモンが演じる。円熟の極みのような演技。派手さはないが、しっかりとした筋立てで引き込まれる。米仏の保守とリベラルという水と油が混ざりあうことの気恥ずかしさ。ダンスを始めるふたりの背後にある名子役のマヤちゃんの眼差し。3人が絡まる美しさが眩い。
しかし、男は任務に還り、ことを成す。その伏線の鮮やかな回収。アビゲイルの冒頭からの感じの悪さが効く。もはや収集がつかない。それを取り繕ってしまうものだから、映画としては、これ以上ない不細工な着地。そこがこの映画の良さかもしれない。肉親の十字架の重さ。朴訥な男は寡黙に背負う。
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