「観る者の年齢によって、感じ取るものの違い」今はちょっと、ついてないだけ chikuhouさんの映画レビュー(感想・評価)
観る者の年齢によって、感じ取るものの違い
若いときの「栄光」から遠のく頃、自分の家族との不和とか、介護を要するようになる親への申し訳なさ・悔悟の思いとか、中年男性の多くが直面する事態 私もそういった年齢にある男性であるが、本作でも母親を施設任せにしている申し訳なさを「マザコン」などと妻から罵られたら、何十年も一緒に暮らしてきた「家族」「夫婦」は一瞬にして壊れてしまう 一番近くにいる「家族」「夫婦」を失いかねない爆弾を抱えて、社会の中に自分の居場所をみつけたい、という本作の「男たち」には年齢的にも共感をするものでした
皆さんがおっしゃる通り過去と現在の描かれ方がわかりにくかったですが、シェアハウスに住む各々が「栄光」を失った各々の現在の「弱さ」がよく描かれていたと思います 年齢を重ねていくと友人が少なくなって孤独が近づいていきますが、こういう場面で新しい友人や絆ができるかもしれない、特に中高年男性にとっては一つの希望とも思えます
原作の伊吹さんが著した「ミッドナイトバス」は5年前、ネプチューンの原田泰造さん主演で映画化されました 妻と分かれ、離婚して育て上げた2人の子どもからも距離を置かれた夜行バス運転手の話ですが、中年男性のどんよりとした行き場のない姿でした 本作は過去の「栄光」を失った男を描いていますが、希望が持てる分前向きになったラストでした 他の俳優さんは演じていますが、団長安田さんについては本業のお笑いよりも自転車や体力系にシフトをしていますからよりリアルに感じます でもそのもがいているリアルな団長安田さん(同じ事務所の森脇健児さんも似ていますが)、同年代男性として大好きです (4月14日 MOVIX京都 にて鑑賞)