「【フィクションだと思わずに…】」トムボーイ ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【フィクションだと思わずに…】
まず、子供たちの演技が素晴らしい。
そして、この作品は、多くの”大人”、特に頭カチカチの大人に観てほしい。
茶化さないで観てほしいと思う。
一概に「性」とは言っても多様で、自覚する時期も、認識の仕方も様々だと云う考え方が主流になってきている。
幼稚園に入る前から、仮に漠然とでも自覚している場合もあれば、思春期に多い性的指向の表れが決定的な要素になる場合もある。
性については、大きく、
「からだの性」
「表現する性」
「性自認」
「性的指向」
に分けて考えることが多く、”表現する性”が必ずしも”性自認”に結びつかないこともある。
“からだの性”と”対極の性を表現”したい…つまり、服装表現やケンカの強さを競うなどを含む…ケースもあるが、それは、”性自認”や”性的指向”とは関係ない場合もある。ノン・バイナリーなファッションをしていても”からだの性”と”性自認”が一致していることは多いはずだ。
また、当然、結果として性的指向も”バイナリー”なこともあるのだ。
(以下ネタバレ)
ロール/ミカエルは、表現だけで、まだ、ハッキリした自覚はないのかもしれない。
もしかしたら、リザがトリガーになる場合も想定されるんじゃないのか。
まだ、性自認が定まっていないのであれば、なんとかして、”からだの性”と一致させようという親は多いと思うが、それが、どれだけ、子供の心を傷つけるのかは、分からない。分からないこそ、精神的ダメージを大人は理解してあげないといけないのだろう。
最後の、ロール/ミカエルの微笑む顔を見て、これから、どうなるのだろうかと、やはり考えてしまう。
まあ、兎にも角にも、子供たちの演技が素晴らしかった。
この80分ほどの作品で、いろいろなことを考えさせられた。