劇場公開日 2022年9月16日

「お喋りなパレード」沈黙のパレード サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0お喋りなパレード

2022年9月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

楽しい

興奮

ガリレオシリーズがスクリーンに帰ってきた!
ということで、ついにこの日がやってきました。ちゃんと過去2作品を予習して、ガリレオ愛を深めてからの鑑賞です。正直、「容疑者Xの献身」が越えられるとはとては思っていないし、過去最大規模のキャストには、果たして上手く描けるのかと少々の不安を覚えてしまう。だけど、これはガリレオだ。東野圭吾だ。過去2作の栄光もあって、期待せざるを得ない。

てなワケで、「ヘルドックス」「川っぺりムコリッタ」という強者が揃う9月16日公開作品の中で、本作をチョイス。(本当は3本全部見たかったけど、台風の影響で早めに映画館が閉まっちゃいました...仕方なし。)
少し不安もあったけど、実に面白い!!流石でした。やはり、こんなに釘付けとなってしまうミステリー映画はそう無い。いいもの見せてもらいました!

注目すべきは、やはり福山雅治。
この9年間で更に役に磨きがかかっており、衰えるどころか、グレードアップし続ける福山に脱帽。こんな歳の取り方をしたいものだと、思わず憧れてしまいます。過去2作よりも湯川っぽさが全面に出ており、特に某ファミリーレストランのシーンは湯川節が炸裂。「真夏の方程式」では見られなかった〈教授〉としての活躍ぶりも見れたし、ガリレオ復活に相応しい作りだったと思います。「さっぱりわからん」「実に面白い」が映画館で聞けて大満足。ガリレオファン、福山ファンにとってもたまらない演出も多く、より一層このシリーズへの愛が深まりました。

そして、今回スポットが当たるのが、湯川の親友でもある刑事の草薙(北村一輝)。これがまた本当にいい演技をしていて、グッと締め付けられました。あぁ、こんな繊細な表現ができる役者さんだったんだな。これまた「真夏の方程式」では影が薄かった、草薙というキャラクターに重点を置いた話にすることによって、今までとは違う重みや悲しみを感じ取ることが出来、物語に深さを与えてくれています。このシリアスな雰囲気は「容疑者Xの献身」と似ており、湯川先生では無いため、あの作品ほど感情移入することは出来ないのだけど、あれと近いくらい来るものがありました。

「容疑者Xの献身」では物理学者としての湯川先生、「真夏の方程式」では人間としての湯川先生、そして本作「沈黙のパレード」では仲間の一員としての湯川先生という感じでしょうか。色々な葛藤が見え、なかなか見応えのある作品となっており、サスペンスというよりも人間ドラマとしての色が強くなっているように思えました。刑事の草薙との関係性も色濃く描かれており、今まで追いかけてきたファンにとっては考えさせられるものがあるでしょう。しかしながら、草薙に重きを置いてしまったせいか、柴咲コウ演じる内海の存在が薄くなっているのは残念。2人の掛け合い、というよりも湯川先生の独走、に近い感じがしてなりませんでした。

そして、何より気になってしまったのがラスト20分。ひたすら語り口調で、問題が解決していくと言うよりも解説を聞いているような気分がして、あまり気持ちいいものではなかったというのが正直な感想。今までのような、どんでん返し!まさかの結果!みたいな演出がなく、あっさりと終わってしまったのが残念だった。回収出来ていない部分もあったし、何より湯川先生にあまり関係していないのではと思ってしまった。親友、子どもと来て、仲間。エピソードが無いせいか、関係性が弱いように思えて、しっくり来なかったかなぁ。あまり湯川先生ぽくないしね。

ただ、役者は一流でして、中でも飯尾和樹の演技がとてつもなく上手いのです。この人、本当にお笑い芸人か?驚くほど繊細で、器用な演技するし、涙が込み上げてきそうになるくらい絶妙だった。いやぁ、持ってかれた。普段のおふざけキャラからのギャップが凄くて、俳優・飯尾和樹としての底力を見せつけられました。椎名桔平、岡山天音も流石でしたけど、飯尾に食われちゃってました。なんてパワーだ...。

ん?と思うところが多くて、ちょっとガックシでしたが、それでも安定の面白さで満足でした。福山も言うように、是非とも続編は早めに作っていただきたい。おじいちゃんになる前にね!笑
やっぱりガリレオが好きだ!福山雅治が好きだ!主題歌、なんだか福山っぽい曲調とリズム感だな、と思っていたら作詞作曲・福山雅治と出てきた。やはりか。実に素晴らしい!

サプライズ