「原作ファンの感情として」怪盗クイーンはサーカスがお好き tohcoさんの映画レビュー(感想・評価)
原作ファンの感情として
初日、仕事を片付けて観てきました。思ってることを書きます。
良いところもたくさんあったし、うーんと思ったところもそこそこありました。
まずは良いところ。
映画館のスクリーンいっぱいにはやみねワールドが広がってました!トルバドゥールがある…!
内装がヤバく豪華なのに猫ちゃんまみれで、これが教授とクイーンに通ずる猫のノミ取り癖の描写だ!とニコニコになりました。
クイーンの声優さん、メチャ合ってる…!と思いました。宝塚出身の方がいろんなエンタメ作品にいろんな形で関わってくださるの、いいなあと思っています。
説明台詞のときに一瞬少し固い感じがしましたが、そこ以外は終始クイーンの存在感を味わいながら聴き入ってました。
ジョーカーくんもとてもいい……クイーンを美しく描こうという気持ちがばしばし伝わってくると同時に、ジョーカーくんをかっこよくかわいく描こうという並々ならぬ意思も伝わってきました。
岩清水刑事に変装しているときでもかっこよくてすごかったですね。岩清水刑事もお茶目でかっこいいんですけど!
そしてホワイトフェイスの森川さん。少し渋めの、しかしロマンを湛えたキャラクターでとてもよかった……
最後のクイーンと話すシーンの感情がすごく良くて、ラストの小指のシーンが美しくてあの絵を見られて本当によかった……と思いました。
エンディング!怪盗クイーンの世界のノスタルジックな感じを褪せさせないパワフルでドラマチックな歌で良かった!
総合して、ひたすら制作側の原作愛かつはやみね愛を感じました。
次に、うーんと思ったところ。
キャラデザから彩度高め色み強めのバチッとした絵柄だったので、今風のシュッとしたアニメではないのは覚悟していました。
ですがやはりキャラデザや演出などが最近のアニメで目の肥えた人には粗く見えてしまわない?という危惧と覚えました。
(あと個人的に、ツイッターのタイムラインや応援うちわを持ってる女の子たちが映ると何故か照れてしまいつらい。個人的な話です)
ポニーキャニオンの制作側の方たちのインタビューも鑑賞後に読みました。
幼い頃に原作を読み、成人してから読み返したりもしていて、映画化したら喜び勇んで観に行く私のようなタイプは、十中八九対象ど真ん中なんだと思います。
ただ、そういう狙い撃ちゾーンな私に対しても、せっかくアニメ化するなら原作キャラデザを尊重することと今風なアニメ絵にすることを両立できる形がもっとあったんじゃないか…?!?と思わせてしまうのは惜しい…!と思いました。
他の方のレビューを見ていると絶賛が多いので、色々考えすぎていたり、単に好みに合わなかったのかもしれません。
主観によらずに判断をつけるのって難しいですね。
あと、60分の尺に合わせるためとはいえカットやシーンがものすごくサクサク進むので、そこはじっくり描いてほしかったなと思いました。
でも後からインタビューを読むと精一杯の60分だったんだな…と理解もできました。
せっかく作っていただいて届けていただいて、満足している部分も大きいので、申し訳ない気持ちもありますが、原作ファンのノスタルジーだけに頼らず、広い世代にこのアニメ気になる!と注目される企画になってほしいと思います。
推し作品、推しシリーズを原作だけでなく、アニメ化作品としても大人気コンテンツにしてほしい!という祈りが激しく生まれた鑑賞体験でした。原作が大好きな人以外にも、作品としてのクオリティと今らしさで訴求していってほしいです。
インタビューでは、制作側の方が年一の映画シリーズにできれば…!と愛を語っているので、同じくファンとして本当にそれは叶ってほしい。初週末稼働が多いことを祈っています。
(でもランダム特典の在り方には賛同できない…)
色々な気持ちが入り混じっています。でも結局は原作が大好きなシリーズなので、なんとかアニメ化も成功してほしいとも思っています。
私は優雅なバカンスがアニメ化されて、例の方法で警備システムに対処するクイーンが見たいんです…!